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プレミオ通信

フォト・プレミオ 2008 入賞者

第1期展示入賞者
(11月末締切)
第2期展示入賞者
(2月末締切)
第3期展示入賞者
(5月末締切)
第4期展示入賞者
(8月末締切)
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FOTO PREMIO NEWS No.7

先日、「フォト・プレミオ2008」第3期締め切り分(2008年5月末)の選考会が行われ、その結果、4名(10月2名、11月2名)の写真家が新たに選出されました。今回の受賞者の皆さんは、どのような点が評価されたのか、また、選考委員が作品を選んだポイントなど、選考会でのコメントをそれぞれの写真家ごとにご紹介します。

澤田勝行「風の棲む街へ」

約7年に及ぶ長い旅を記録した作品です。オーソドックスな写真に見えますが、いかがでしょうか。

「ごく日常的に出会える人々であったり、ハレとケで言えばケの日々であったり、日常性の尊さをしみじみと味わわせてくれる写真だと思いました」
「普通の人たちが普段撮っている記念写真の延長線上にある写真だと思うのですが、素人には撮れないという感じがします。普通に記念写真を撮っている人たちの側の視線を、写真家の立場でもう少し昇華させた写真だという気がしました」

いまの時代だからこそ、こういう写真を撮るのがむずかしくなっているということも、この写真の魅力になっていると思いますが。

「この国のいまの有り様の中で、こうあってほしいという彼の願望のようなものがあるんじゃないでしょうか。こういう世界が続いてもいいという願望が感じられます」
「それはまた同時に、見る側の願望であるのかもしれませんね。そういうものを引っぱり出してくれる力を持った作品だと思います」
「とても穏やかな気持ちにさせてくれる写真ですね」


中島拓也「疾風」

意図的にこういう風景を探して撮っている作者じゃないかと思われます。

「視覚的にドキッとするような映像もあれば、どこか空間が抜けているような映像があったり、独特の視点を持っていますよね」
「それほど集中して何かを考えたり、集中して見つめたりしているのではなく、私たちの日常生活って、こんな風にいつも物事を見ているのかなと思わせられました」
「誰もが持っている“ふるさと”の一般的なイメージとはちょっと違いますね。自分のふるさとをこういう目で見られるのかという新鮮さを感じました」

独特の世界観がありますよね。

「ふるさとをテーマとしながら、おそらく虚構の何かを構築しているんだと思います。作品を見ていると、眼差しにばらつきがあったり、また、対象に向かう意識にもばらつきがあったりするのですが、それらを組み合わせることができる能力というか、構成力に可能性を感じます」
「そうしたばらつきのある眼差しや意識を持ち得ているというのは、自分の中に表現の引き出しがいくつもあるからでしょうね。それを駆使することで独自の世界をつくり出せているんだと思います」
「1枚1枚が暗示的な写真でもあるんですけど、それをあまり強く感じさせないうまさがありますよね」


長谷川治胤「clear」

長時間露光による海辺のモノクロ写真です。長い時間をとらえていながら、時が止まってしまったような映像です。

「きれいですね。見えるはずのない色や、空気を感じさせてくれる写真なんですけども、何より素晴らしいのは、時間を視覚化して見せてくれているところじゃないでしょうか。止まっている時間が見えるという感じがします」
「周辺の余計なものを排除して、“形”に集中的に見る側の意識をもっていくということは、まだモノクロ写真のやるべき仕事のひとつだと思うんです。そういう意味で、この作品はモノクロ写真として意義のあることを探しだそうとしていると思いました」

いまはデジタルが全盛で、誰でも簡単に撮れる写真が多くなっていますけど、この作者は扱いやすいとは言いがたい組立暗箱式のカメラを使って、被写体とじっくり向き合って撮っています。

「きっとあるとき、長時間露光で海がこういう風に写るということを、彼は知ったんだと思うんですけど、そこから1つの方法論を編み出していて、それが作品として成功しているんじゃないでしょうか」
「長時間露光によるこうした作品は、前例がないわけではないと思いますが、作品の方向はこれまでにないような気がします。モノクロ表現による静かで落ち着いた世界が構築されています」
「決して絵画的にせずに、写真ならではの個性的な世界をつくり出していると思います」


石本卓史「脆弱なる大地 - Living in the fragile island -」

中判カメラでバングラデシュの島を歩いて撮影した作品です。

「まず、見慣れたアジアの写真じゃないところが印象的でした。“見慣れたアジア”とは、これまで私たちが多く見せられてきた写真によって頭の中に作られてしまったイメージのことですが、そういうものとは違った空間を見せてくれている写真だなと思って、新鮮に見えました」
「タイトルが示すように、決して恵まれた条件に暮らしている人たちが写っているわけではないのですが、なぜかこの場所に行ってみたいと思わせるような、魅力のある場所として撮っていると思うんです。単に枯渇やサイクロン、洪水に晒されている貧困な場所というようにとらえたり、あるいは結局は観光写真になっているというのでもなくて、そうした環境とそこに生きる人びとに自分が惹きつけられていることの意味をつかまえてきていると言うのか、自分なりの視点でそれをとらえようとして、それが成功していると思いながら見ていました」

これは旅行の写真ではなく、ドキュメンタリーの作品と言えますよね。

「そうですね。旅の写真にはなっていないですね。やっぱり、1つの場所、1つの事柄をじっくり1枚1枚観察するというか、見つめて撮っていると思います。旅で通り過ぎていく写真ではないと思います」
「都合のいいイメージばかりをコレクションしてきたんじゃないところが好きですね」


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