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プレミオ通信

フォト・プレミオ 2008 入賞者

第1期展示入賞者
(11月末締切)
第2期展示入賞者
(2月末締切)
第3期展示入賞者
(5月末締切)
第4期展示入賞者
(8月末締切)
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FOTO PREMIO NEWS No.6

このたび、「フォト・プレミオ2008」第2期締切分(2008年2月末)の選考会が行なわれ、新たに4名(7月2名、8月2名)の写真家が選出されました。今回の受賞者の皆さんは、どのような点が評価されたのか、また、選考委員が作品を選んだポイントなど、選考会でのコメントを写真家ごとにダイジェストでご紹介します。

徳田敬太「ツーリスト・アトラクション」

世界的な観光名所へ行って撮った作品ですが、自分たちが写されているような不思議な感覚にさせられる写真です。

「この人は好奇心の塊なんだなと思わせられますね。好奇心というのは、向上心や知識欲なども含めて、現在の自分よりもっと違うことを知ってみたいという他への関心の一番の源だと思うんですが、それを画像化して見せられているような、臨場感に溢れた写真です」
「外国へ行ってツーリストでいるということは、自分のアイデンティティに思い至らせます。そのことに自覚的だという意味で、優れた自己批評性を持った作品だと思いました。旅の写真というのを目にする機会はたくさんありますが、この作品はまったく違う視点から旅を撮ったという意味で、とても鮮やかなものに感じられました」

秘境というものが、なくなったという感じもします。

「そうですね。以前は旅行するのが困難だった場所へもガイド付きツアーなどで行けるようになって、こういうところにもたくさんの旅行者がどんどん入って写真が撮れるようになったんだなと思いました。だから、秘境や辺境を壮大なスケールで見せるような撮影の手法は、いまはかえってウソっぽく見えるのかなとも思いますね」


譲原琢磨「ようこそニッポン! ~モデル写真の部~」

この作品は逆に、日本に居ながら世界旅行をしているような感覚の写真ですが。

「モノが旅をしてきて日本に定着しているという状況を、とても面白おかしく表現していますね。しかし、その面白おかしい写真を丹念に作り上げているというか、真面目に時間をかけて演出していると思います。たとえばギャグを演じるのに大真面目であることって大切だと思うんですけど、この作者の場合もそれに似たものを感じますね。モノを探し出して、それをどう組み合わせて撮るかということを、頭を使いながら一生懸命撮っているんじゃないでしょうか」
「この作品の中にある“凸凹さ”というのは、時代固有のディテールで、やがて時間とともに消え去るというか、必ず共有化されて平坦に見られるようになりますよね。でもその“凸凹さ”を見せてくれることが、本当は写真の重要な役割だと思うんです。そんな細かい凸凹がここにはたくさん写っていて面白いと思いました。細部を満たしてくれるこうした細かな凸凹、つまり現在そのものが写っているものをもっと見たいという気持ちにさせられます」
「日本人は真面目に写真を考えるのが好きですが、この作者の場合、そういう姿勢を初めから持ち合わせていないのか、自分の面白さみたいなものを中心に置いて撮っていますよね。ある意味で日本人離れしていると思います」

しかし、写真の撮り方は驚くほど丁寧で、好感を持ちます。

「確かに、とても作り込まれていますよね。こうした作風は外国人ではいくつか見たことがありますが、日本人では少ないと思います。そういう意味では私も日本人的じゃない視点で撮っている感じがしました」


小野 努「社会の窓」

これは言葉で表現するのが非常にむずかしい作品ですね。

「あれっ、変だな、と思う瞬間というのは、普段の生活の中にもたくさんありますが、通常はその瞬間だけそう思って過ぎ去っていきますよね。でも、こうやって写真で見せられると、そういう瞬間があることを再確認させられます。自分たちの日常的な時間を、私たちは平凡でありふれたものとして考えがちですが、じつはそうではなくて、案外“不条理さ”や“訳の分からなさ”を抱えてるんだなということを、あらためて思わせられました」
「この写真を見ていると、観察者や傍観者であったりすることによってこそ達成できる、奇妙な瞬間との出会いのようなものが、きちんと捉えられていて、こういうのも写真の面白さなのかなと思いました」

こういう視線で社会を切り取っている写真家は増えてきていますよね。

「単に面白いものをつかまえてシャッターを切るというよりも、もうちょっと辛抱強いというか、生理的な感覚に忠実でいながらドラマを演出していますよね。しかも暴力的な何かを感じ取れたり…。“きわどさ”や“危険性”を写真が伝えてくれているところにオリジナリティを感じます」

「社会の窓」というタイトルがぴったりかもしれないですね。

「基本が違和感というか、外の世界に自分は入っていけないけれども、そこにすごく惹きつけられているような、そういう距離感があります」


近藤伍壱「Ultima Thule」

一転して、静かに地球を見つめているという視点の写真です。

「作者が見る意識を働きかけているというよりも、圧倒されている感じがいいですね。社会観や文化観がまるっきり違う、自分たちの世界から逸脱した外の世界がまだまだあるということを、写真が教えてくれるひとつの例だと思うんです。新鮮に見えましたね」
「何もない風景になんで惹かれるのかな、ということの答えを探している感じがとてもいいなと思いました」
「作者はその土地の空気感みたいなものに一番惹かれているんじゃないでしょうか。この作品から感じるのは、私たちが暮らしている日常と違った、ある透明な空気感みたいなもので、そこがこの写真の魅力になっているような気がします」

それと、アイスランドに行くことでこの作者は本当に幸せな時間を過ごしているんだろうなという気がします。

「そういう気持ちが伝わってくるというか、写真を見る側が勝手に想像できますよね。最近の風景写真はどちらかというと、これみよがしに“すごいだろう”というようなものが多いのですが、そうした写真とはまた違うところがいいですね」


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