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プレミオ通信

フォト・プレミオ 2008 入賞者

第1期展示入賞者
(11月末締切)
第2期展示入賞者
(2月末締切)
第3期展示入賞者
(5月末締切)
第4期展示入賞者
(8月末締切)
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FOTO PREMIO NEWS No.5

このたび、「フォト・プレミオ2008」第1期締切分(2007年11月末)の選考会が行なわれ、新しく4名(4月2名、6月2名)の写真家が選出されました。今回の写真家の皆さんは、どのような点が評価されての受賞だったのか、また、選考委員が作品を選んだポイントなど、選考会でのコメントを写真家ごとにダイジェストでご紹介します。

谷井隆太「えきすとら」

とても愉快な情景を街の中で探して、画面の隅々まで目に楽しい映像を作り出したと思います。

「みんなが何かを待っているような、文字通り“えきすとら”の役になぞらえた作品ですね。かつて、アメリカに“ステージド・フォト(演出写真)”という写真のタイプがありましたが、それを思い出させる作風で、こういう視点で見せられる東京のシーンというのはとても新鮮だと思いました。自分たちの街での生活や佇まいも、いつもこんな風にして人を待っていたり、物を見ていたりするのかなと思えて、まるで鏡を見ているような新鮮さがあります」

デジタルのおかげで、非常に明快な描写になったということも、この写真の魅力になっているんじゃないでしょうか。

「そうですね。パッと時間を止めたときに、面白い演劇がそこで繰り広げられるように、すごくクリアにきちんと写り込んでくるというのは、いまの時代の表現だと思います。街の中に芝居や演劇の要素を見出すというのは、現在では写真にとって基本のようなものにもなってきているのかなとも思いました。そういう意味で、この写真はけれん味がある作品というよりは、むしろ現代のスナップのひとつの典型のようにも感じました」
「このデジタルの色は、芝居の書割のような効果が出ていますよね。そこがちょっと現実離れしていて、魅力につながっているんじゃないでしょうか」


綿貫淳弥「豪雪の村~秋山郷~」

雪深い山村に入って、なおかつ作者は雪がたくさん降った年を選んで撮影していると思います。

「優れたドキュメンタリーになっていますね。民俗学的な視点みたいなものを作者は持っているのでしょうけど、むしろそれを抑えて、日常的な雪の中の暮らしを撮ったところに魅力が集約されています」
「この集落の生活や文化の質というものを彷彿とさせる写真だと思いました。それともうひとつは、意識していないかもしれないけれど、記録することへの使命感に燃えたような写真がたくさんあって、そのストレートな気持ちにとても共感しました」

他人を撮っていないという感じがします。

「集落に入って、長い時間をかけて丁寧に、生活者の視点になるべく寄り添う形で撮っているのは確かで、そこに共感を覚えます。あと、もうひとつのテーマの“雪”ですが、モノクロ写真との相性がいいこともあって、雪の写真っていいなと単純に思いました。いくつかの風景や窓ガラスに雪が覆いかぶさってくるシーンなどでは、雪の持っている多様性を見せてくれていて面白いと感じました」

この写真はモノクロのせいもあって、生活の“におい”がしないですよね。それも魅力になっているんじゃないでしょうか。

「カラーだったらもっと生々しくなってしまうところを、こうしてモノクロ写真で抽象化したことで、雪というものをうまく生かしてるんだと思います」


清家政人「self still」

トイカメラを使って撮ったカラー作品です。通常のカメラでは欠点とされる部分を、逆に利点として捉えた、ある種の幻想の世界ですが。

「トイカメラで撮るという手法によって、私たちが生活する社会の弱さや甘さといったものが感じられてきて、面白いなと思いました。ただ、あまり手法にこだわらずに、この作者の視線であれば、トイカメラではなく、もっとストレートに写真を撮ってもこういう世界を見せてくれるだろうなとも思っています。今後に期待したいですね」
「カメラが変わると写真が変わるとよく言いますが、カメラを変えたときに、たまたま写してみたら、思いがけないものが写っていて楽しくなり、次々に勢いで撮っていくという、純粋な作者の喜びが伝わってきます。そういう意味で、見る人を幸せにする写真だと思います。偶然なのかもしれないですけど、こういう雰囲気がいまの時代と微妙にマッチしていて、時代の空気感とつながる表現になっているのかなと思いました」

トイカメラのシャープじゃない部分が、いまの世の中の見えにくい空気感とか、そういうものと符合するからじゃないでしょうか。

「ちょうどいいところが都合よくボケたり、色が漏れたりするところとか、そういう偶発的でどう転ぶかわからない、といった要素も時代に合っているのかもしれないですね」


下平竜矢「星霜連関」

若い写真家ですが、伝統的な"お神楽"を取材した作品です。

「神楽をめぐる人々の営みがとても生き生きと捉えられていますね。しかも、その捉え方がとても現代的に感じられました。新しい世代の人が、こういう古くから伝わっているものを見て表現すると、やはりそこには若い人が見る感覚があふれていて、とてもいい作品だと思いました」
「日本の地方の土俗的な祭りで、おどろおどろしいものなのに、それをいまの若い人にしては珍しく、そこに視点を合わせたところが魅力なんじゃないでしょうか」

写真としては、正攻法ですが。

「そうですね。これは昔からの日本人の肖像です」
「しっかり人間と向き合って撮っているところが、素晴らしいと思いました。しかも、通常の肖像写真とは違って、“神楽”という媒介があるからこそ、その肖像のリアリティが増しているんじゃないでしょうか。ただ単に人間を撮ればいいのではなくて、神楽に興味を持ちながら人間にも興味を持っているから、こうした説得力のある人間の把握が行えているのかなと思いました」

非常にいい対象を見つけて、撮影に取り組まれたのではないでしょうか。テーマが伝統的でも現代的でも、やはりこうしたオリジナルな視点を持った写真家が、今後も多く登場してほしいですね。


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