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Column KIKIの探訪記
Vol.09 神奈川県 大磯編[ 後編 ]
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社会・文化・芸術の展示・イベントを実施するコニカミノルタプラザが、モデル・女優のKIKIさんとお届けする言葉と写真を織り交ぜた心の旅のコラムです。

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Vol.09 神奈川県 大磯編[ 後編 ]2009.08.15

立ち止まる時間の大切さ それぞれのセンスオブワンダー

立ち止まったとき、新たになにかを見つけることもあれば、時間の流れのなかに、過去を見つけることもあります。神奈川県の大磯は、海と山の間に細く長く広がる町。東京から1時間とすこしの距離で、夏には海岸が賑やかになる熱海や伊豆より手前にあります。まるで浮世絵から飛び出してきたような立派な松並木の東海道を挟んで、賑わいもありながら、海へ山へつづく路地を折れると、生活の空間となり、のんびりとした空気が漂っています。

わたしの祖父だった人は、大磯の土地をたいそう気に入り、亡くなるまでの数年をこの町で祖母と過ごしました。休みごとに東京から通った母や叔父たちも、大磯での時間は想い出深いもののようで、いつも懐かしそうに話をします。海岸線にバイパスが走る前は、家から裸足で海まで行けたという、家の前の道にはうっすらと砂がかかり、数軒通り過ぎると腰丈の松林がものの見事に広がり、そのむこうには海がある。

小学生のころまでは、わたしも頻繁に大磯に遊びにいっていましたが、祖父が亡くなり祖母も年老いてからは、その機会は減り、この夏訪れて数えてみると、それは十年ぶりのこと。変わったところと変わってないところ。いつも湿気ていて薄気味悪かったバイパスを潜るトンネルは、大磯らしい海への入り口に。波はかわらず大きく、風は強く。見覚えのあるようなないような、大磯の町をただひたすらに歩いてみると、やはりここでも教会に出会いました。子どもの頃に訪れた記憶はありませんが、なんだか懐かしい。芝生の庭に、瓦屋根の教会。障子のようなサイズに区切られたステンドガラス。
差し込む光の穏やかさが、祖父の家に流れていた空気と同じように感じるのは、どうしてでしょう。腰掛けて、思いを漂わせていると、身近な出来事からあっという間に過去に起きた数々の物事が、記憶のなかから呼び起こされていくのでした。見えない力によって、ここに呼ばれたような気さえしてくるのでした。

祖父とおなじく、また想い出を追うように大磯を好いていた祖母が、先日大往生で亡くなりました。わたしが生まれた数ヶ月前に祖父は亡くなったので、わたしが生きている時間とほぼ同じだけ、祖母はひとりでした。予期しないタイミングで訪れた大磯。祖母に思いを馳せると同時に、自分の生きてきた時間を振り返ることにもなりました。立ち止まって気付く多くのこと。その大切さを、最後にあらためて祖母から教えられたような気がしています。
センスオブワンダーは人によって様々で、また変化しつづけるもの。なにがそれであるか敏感に気づくために、注意深い観察力と、感受性の広さを持っていたい。それには、立ち止まる時間と、心のゆとりがもっとも大切で必要なのかもしれません。また新たな出会いがあることを期待して。
連載「Sense of Wonder」はこれにて終了いたします。一年と一月、お付き合いくださり、ありがとうございました。

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