事例紹介「自動スキャン 分光測色計  FD-9」次世代の新聞広告製版を支える

共に新聞広告の制作・製版・校正出力を主力とする株式会社トーン・アップ(富田和伸社長、東京都中央区)と株式会社第一製版(竹ノ上蔵造社長、東京都港区)は、昨年6月に共同で「新虎スーパーラボ」(東京都港区)を開設した。最新のデジタル印刷機を共同利用し、新たな新聞広告の校正出力事業に乗り出している。そして、同工場の品質管理を支えているのがコニカミノルタの自動スキャン分光測色計「FD-9」だ。今年に入り、同機でJapanColorのプルーフ運用認証を取得するなど、様々な取組みも進んでいる。トーン・アップビジュアルプロデュースセクション執行役員アカウントセクションマネージャーの大木貴弘氏と、第一製版制作本部第二制作部部長の杉田仁氏に、FD-9を活用した同工場の取組みについて話を聞いた。

共同工場 「新虎スーパーラボ」を開設

2016年6月に開設した共同工場「新虎スーパーラボ」

1919年に創業したトーン・アップは、創業当時から新聞広告を生業とし、現在は印刷業務やデザイン制作、プロモーション企画、映像制作にいたるまで多岐な事業を展開している。一方、1948年創業の第一製版は、新聞広告を中心に雑誌広告や商業印刷の校正出力のほか商業印刷事業なども手がけており、両社とも新聞広告の製版業務を主力事業としながら社業を発展させてきた。
新聞広告製版はスピードと高い品質が求められ、近年はデジタル化が急速に進行している。両社とも以前は協力会社に校正出力を外注していたが、納期やコスト面が課題となっていた。オンライン送稿の必要性も高まる中、その解決策を模索していた。
そうした中、第一製版の竹ノ上社長が、富士フイルムのB2サイズ枚葉型インクジェット印刷機「Jet Press 720S」の新聞広告校正への利用に着目してトーン・アップの富田社長に話したところ、富田社長がテスト・検証に取り組んだ。その結果、確証を得て2015年の4月に富田社長から、「Jet Press 720S」を共同利用する事業の話を持ちかけた。竹ノ上社長も品質面に太鼓判を押し、2016年6月に新虎スーパーラボを開設する運びとなった。

同工場ではデータ処理の工程を自動化し、広告原稿をオンラインで送信すれば印刷直前まで自動で処理される。夜間に無人で処理されたデータを朝一番から出力する体制である。
従来の平台校正では約30分(1台10枚)を要するところを、Jet Press 720Sでは約3分と10分の1に短縮。色のばらつきが抑えられた高品質な色安定性も高い評価を得ている。その品質を陰で支えているのがコニカミノルタの自動スキャン分光測色計「FD-9」だ。

自動スキャン分光測色計「FD-9」

業界標準を支える品質

トーン・アップビジュアルプロデュースセクション執行役員
アカウントセクションマネージャー、大木貴弘氏(左)
第一製版制作本部第二制作部部長、杉田仁氏(右)

杉田氏はFD-9の優れた点として、スピードと精度を挙げる。同機はチャートを挿入してから測定結果が出力されるまで、1500パッチで約4分という超高速スポット測定が可能で、測色センサーがパッチごとに止まって測定し、超高速のスポット測定を繰り返すことで高い測色精度を実現している。加えて、複数の測定条件(M1、M0、M2)データを一挙に取得できるため、測定作業を一度で済ますことができる。
また、FD-9は新聞カラー広告色見本用プロファイル「NSAC(エヌザック、Nihon Shimbun AdColor:日本新聞アドカラー)」のチャート測定に対応しており、対応機種の中でも特にスピード面で優れていたことから、大木氏は「即決で導入を決めた」と振り返る。

そのNSACは、新聞製作工程のデジタル化や高細線化など新聞印刷を取り巻く環境が変化していることを受け、6月に「NSAC2017 Ver.1.0」をリリースしている。そのリファレンスキットの製作は同工場が請け負っており、カラーチャート(JCN2002 -Ver1.1)、目視用ターゲット、デジタル出力デバイス確認用ターゲットなどをJet Press 720Sで出力を行っている。新聞広告界の基準となるリファレンスキットの製作では当然ながら高い品質管理が求められるが、FD-9の優れた測色精度が業界のスタンダード基準を支えている。

幅広い印刷サービスの提供を

新聞広告に限らず、商業印刷の校正出力サービスも念頭に置き、トーン・アップは今年2月に日本印刷産業機械工業会が運営する印刷色基準である「JapanColor認証制度」のプルーフ運用認証をJet Press 720SとFD-9で取得した。FD-9での認証取得は同社が第1号で、翌3月には第一製版も登録を行っている。
認証取得について「工場を開設した時から取得を考えていた」と話す大木氏は、「これまでFD-9を使用した申請会社がなかった分、手間はかかったが、コニカミノルタさんと協力しながら取得することができた。非常に頼りになった」と同社のサポート体制に厚い信頼を寄せる。
杉田氏は「プルーフ運用認証という共通の基準があれば、相手から見ても仕事を頼みやすくなる。新聞広告がメインだが、商業印刷の校正出力などの仕事も進めていきたい」と意気込む。
また同工場にはJet Press 720Sのほかに、大判のUVインクジェットプリンターやデジタルカッティングマシン、ラミネーターなどを揃えている。新聞広告の校正出力サービスだけでなく商業印刷やSPツールの製作、段ボール素材などへの加工など、幅広い印刷サービスの提供も目指している。

共同利用しているJet Press 720S

環境光データの活用にも意欲

今年3月には第一製版の本社工場にもFD-9を導入した。現在は他社製の分光測色計も併用しているが、テストを重ねながら将来的にはFD-9へ置き替えていく意向だ。
今後について杉田氏は「トーン・アップさんとは同じ機械を使用しているので、測定データなどを将来的に共有できれば、何が起きてもお互いに助け合うことができると思う」と話すなど、FD-9を軸にさらなる協力体制の強化を視野に入れる。
また、FD-9では測定した環境光データを登録し、その環境光下での目視に近いL*a*b*値を演算する機能も備えており、大木氏は同機能の活用に関心を寄せる。
工場内では色が合っていても、顧客先では環境光の違いから色が合わず、工場と顧客先を何往復もするというケースは珍しくない。こうした状況に「上手く解決できる方法はないかと考えていた」と語る大木氏は、この新しい取組みにも意欲的な姿勢を見せている。
FD-9を活用した同工場の挑戦は、まだ始まったばかりだ。

本内容は、「印刷情報」2017年8月号からの転載です。

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