太陽電池 計測カレッジ

分光感度測定 - 新規の太陽電池の性能評価に欠かせない評価ツール -

太陽電池の性能評価において、変換効率の測定と同様に分光感度を測定することは重要です。また、太陽電池の周辺部材の研究開発においても、太陽電池の基本性能への影響を確認する手段として、分光感度を測定することはとても重要な役割を担っております。

分光感度測定

分光感度とは太陽電池の特定波長(λ)における、入射光強度(W)と出力電流値(A)の比です。すなわち、1Wあたりの出力電流のため、太陽電池の性能評価には欠かせない測定ツールのひとつです。
※各種太陽電池の分光感度を図1に示します

分光感度測定

もう一つの評価尺度として、量子効率(外部量子効率ともいいます、「quantum efficiency (QE)」があります。量子効率とは、太陽電池に毎秒吸収された光子に対して何個の電子を発生させるかを比率(%)で示した値です。
尚、色素増感型太陽電池の分野では、「incident photon to current conversion efficiency(IPCE)」とも呼ばれています。

(外部)量子効率(QE,IPCE)=毎秒発生した電子数 / 毎秒吸収された光子数

(外部)量子効率(QE,IPCE)と分光感度Q(λ)には以下の関係式が成り立ちます。

量子効率(外部量子効率

各種太陽電池分光感度グラフ 図1:各種太陽電池分光感度グラフ

分光感度測定器

分光感度測定器
図2:分光感度測定器概略図
図では単色光のみを太陽電池に照射する方法が直接(DC)法、白色バイアスを当てながら単色光を照射する方法を交流(AC)法と呼びます。

分光感度測定器の仕組みの概略図を図2に示します。一般的には、分光器によって光源から(設定した)波長毎に取りだした単色光を太陽電池に照射します。その時の出力信号を測定することにより分光感度を測定する方式を直流(DC)法といいます。


近年、結晶シリコン型太陽電池以外の種類の太陽電池の研究開発が盛んになり、太陽光に模した白色バイアス光のもとで、白色バイアス光量の違いで分光感度に変化が見られることが分ってきております。(図3;文献4)
白色バイアス光をあてながら単色光も照射し、測定する交流(AC)法も行われております。
また、多接合型の太陽電池は異なる種類の太陽電池を積層した構造です。各層ごとに対応する波長範囲が異なっております。この結果、多接合型太陽電池の分光感度の測定には、カラーバイアス光を照射する必要があります。

白色バイアス光を光量違いでかけた状態での有機太陽電池の挙動 図3:白色バイアス光を光量違いでかけた状態での有機太陽電池の挙動

また、新しいタイプの太陽電池の一つである、色素増感型太陽電池(DSC)は図4に示されるように
チョッピング周波数により分光感度が異なります。(文献5)
これはDSCの応答速度が遅いことに起因すると考えられます。(チョッピング周波数とは特定の周波数の信号を検出して増幅させることを言います。これにより、微小信号の検出やより高感度の信号検出が行えます。応答速度の遅いDSCの測定には有効とされています。)

このようなサンプルには応答速度に応じた測定スピードで評価をする必要があります。AC法において、単色光のサンプリング時間を自在に変化させ、サンプルの応答速度に応じた測定が出来る測定装置が必要となります。

色素増感型太陽電池(DSC)のAC法での挙動変化 図4:色素増感型太陽電池(DSC)のAC法での挙動変化

従来AC法で応答速度が遅いサンプルを測定した場合 図5:従来AC法で応答速度が遅いサンプルを測定した場合

例えば、応答速度(6秒)と遅いサンプルを測定する場合、チョッピング周波数1HzのAC法では図5に示すように相対出力電流が真の実力の40%分までしか取り出せなく、分光感度が小さくなってしまいます。 この弊害を解決するには、図6のように真の実力値まで得られる待ってから測定する必要があります。(この場合では周波数を1Hzから0.1Hzに変化させて測定することが効果的です。)

チョッピング周波数を変化させたAC法 図6:チョッピング周波数を変化させたAC法

  • 太陽電池の分光感度測定には、太陽電池のタイプに応じた測定方法を選択する必要があります。
  • 色素増感型太陽電池は、応答速度が遅いため、分光感度測定には注意が必要です。

参考資料

解説サイト

  1. 独立行政法人産業技術総合研究所太陽光発電工学研究センターホームページ
  2. 独立行政法人 新エネルギー産業技術総合開発機構(NEDO)_太陽光発電ロードマップ関連ホームページ

文献

  1. 佐藤勝昭(2011).「太陽電池のキホン」ソフトバンククリエィティブ
  2. 菱川善博(2010). 10章「太陽電池の測定方法・評価法」 小長井誠、山口真史、近藤道雄(編)「太陽電池の基礎と応用」, 培風館, p381-393
  3. 西川宜弘(2009).「ソーラシミュレータの規格と分光放射計「S-2440」」月刊ディスプレイ, 12, 86-91
  4. X.-Z. Guo et al.(2012) Can the incident photo-to-electron conversion efficiency be used to calculate short -circuit current density of dye-sensitized solar cells Current Applied Physyics, 12, e54-e58
  5. 原浩二郎、猪狩真一、高野真悟、藤橋岳(2005). 「色素増感太陽電池の光電変換特性評価方法」 Electrochemistry, 73(10), 887-896

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