沖縄 (株)フジタカクリエイション

インクジェットテキスタイルプリントの現場をレポートすべく、まだ夏真盛りの沖縄県沖縄市で、ユニーク独自ブランド服飾雑貨を幅広く手がける、(株)フジタカクリエイションの代表取締役社長、高里豊吉さんとマーケティング・デザイン担当、石森由紀子さんに同社のインクジェットプリント事業について、お話を伺った。

1.ものづくりのスタートは、沖縄ブランドへの情熱

創業は、寝具卸からスタートし、Tシャツ、雑貨など取扱い商品を拡大。しかし、仕入れ品だけでは、なかなか思い通りの商品が揃わず、売上も伸びない。そこで、Tシャツのスクリーン印刷設備を工場に導入し、自社で、企画・生産した商品、ものづくりをスタートした。その後Tシャツは、中国の繊維産業の台頭からコスト競争が激しさを増し、差別化がむずかしくなった。国内の自社工場で生産していくには限界があった。そして、企画デザインは国内で行うが、生産は中国工場で行う体制に転換した。しかし、高里社長の沖縄でなにか付加価値の高い製品づくりをしたいという思いは捨てられずに、新規商品展開を模索し続けてきた。

2.インクジェットプリンタ、ナッセンジャーとの出会い

そんなときに、インクジェット方式のテキスタイルプリンターが世の中に登場した。インクジェット方式は、従来のスクリーン方式の捺染に比べて、熟練のオペレーターが必要なく設備もコンパクトだ。また印刷に必要な版が不要。環境に大きな負荷をかける廃棄物も少ない。パソコンでデザインが自由自在にできるのも魅力だ。このプリントシステムなら、高付加価値製品が作れる。そんなときに、取引先からコニカミノルタのインクジェットテキスタイルプリントシステム、ナッセンジャーVを紹介された。そして、導入前に数回のプリントテストを重ね、自分たちが作りたいデザインが可能かどうか、入念にテストをし、ナッセンジャーの高品質な仕上がりを確認し導入を決定した。

3.沖縄の県産品、かりゆしウエア

沖縄で、ものづくりをするのだから、沖縄らしいものをつくりたい。そんな思いから選んだ製品が、いまや沖縄の県産品として広く周知された『かりゆしウエア』だ。このかりゆしウエアは、地球温暖化防止、省エネの推進として、夏季の公式な軽装として、沖縄県が、着用を励行、普及を後押ししている沖縄県お墨付きの県産品だ。昨年2008年度では、約31万枚が生産された。しかし、これだけの多くの商品が出回ると、競争相手も多く、差別化がむずかしく、店頭で一部価格競争も起きていた。このかりゆしウエアの一番の特長は、沖縄らしさを表現したデザイン柄だ。この絵柄がユニークで、高いファッション性があることが上げられる。そして沖縄の人は、自分だけのデザイン、他人とは違うデザインを着たいというニーズがあった。そこに、高里社長は着目していた。インクジェットプリントの技術を使えば、多品種、少ロット、短納期での生産が可能だ。インクジェットプリント技術を駆使すれば、かりゆしウエアの付加価値が広がる。


インクジェットで作られた『かりゆしウエア』

4.安定したインクジェットプリント生産体制の構築


高い信頼性を誇るナッセンジャーV

デジタルテキスタイルプリントでは、版レスでプリントが可能だ。だから多品種、小ロット生産のプリントに向いている。しかし、現在のインクジェットプリンタには、生産機としての印刷スピードを出せない機械が多いことも事実。またスピードがそこそこ速くてもドットが粗くプリント品質が良くない。取引先から紹介されたナッセンジャーVは、生産機として、十分な速度を持ち、非常に満足のゆく生産性が得られた。そして沖縄県内で生産するために、すべての工程を完結させるために、前処理、後処理の設備を自社内に導入した。すべて自社でできないと、競争力がなくなり、付加価値が低くなってしまうからだ。また当初、うまくいかなかった前処理での技術的な課題も解決し、ナッセンジャーの高品質を安定して生産する体制が構築された。

5.ナッセンジャーだからできる高付加価値商品

(株)フジタカクリエイションでは、年間に100種、配色パターン違いを加えると300種以上もの異なるデザインのかりゆしウエアを商品化している。また企画・デザイン・生産・縫製まで、すべての作業を自社内で行なって完結している。これが、同社の大きな強みだ。マーケティング担当の石森さんは、インクジェットプリントは、取引先との商談にも大いにその威力を発揮するという。従来のスクリーン捺染では、着見本(取引先と商談をするための製品サンプル)が、コストや納期の問題で、せいぜい5点程度しかだせなかった。しかし、インクジェットなら、スクリーンと同じ費用で200点もの着見本を作ることが可能だという。商談をする上で、製品サンプルを見せることは非常に重要。写真や布地見本だけでは商談がまとまらない。この数量は、同社にしかできない大きな強みになっている。また自社ですべて行っているので、デザインが決まれば、わずか3日で、着見本ができてしまうという。取引先やバイヤーからも非常に感謝され、信頼関係が厚くなっている。

6.アロハシャツの本場、ハワイへ進出

現在の大手百貨店やスーパー、ホテル等への卸売りをメインに、5つの県内直営店「TINGARA」で一般客や観光客に小売りをしている。高里社長に今後の販売展開について伺ったところ、ハワイのワイキキに店舗を出店する準備を行っているという。なぜ、アロハシャツの本場、ハワイへの進出なんですか?とストレートに疑問をぶつけてみた。ハワイへの進出は、10数年以来、高里社長が暖めてきたプランだった。現地のアロハシャツは、サイズが日本人を中心としたアジア人とは合っていなく、不満をもっている人が多くいる。日本人が着れるアロハシャツのニーズがあるという。またアロハシャツは、アイロンが当てにくく、しわになりやすい。しかし、同社のかりゆしウエアは、アイロンがけが簡単で、しわになりにくい特長をもつ。またデザイン的にもアロハが連続した絵柄であるのに対して、かりゆしウエアは、異なる絵柄を組み合わせたり、テクスチャ柄をプリントで表現したりとデジタルならではの特長あるデザイン処理で表現されている。同じ南国で常用するウエアとして十分に差別化でき、沖縄で成功したマーチャンダイジングと同じ手法で展開ができる。アロハシャツとは、異なった外観、デザイン、素材特長を有しているのだ。

7.ナッセンジャーへの満足感

現在、同社には、2台のナッセンジャーVが導入されている。これまで捺染経験のない女性社員が、ひとりでオペレーションを行っている。プリンタの満足度、要望点を伺った。一番に、インクジェットの色再現のよさだ。パソコンでデザインされた多彩で、複雑なデザインを可変のインクジェット液滴が、忠実に表現してくれる。インクの使用量も必要なところに必要な量だけうつので効率が非常によい。またドットが細かく、繊細なデザイン表現でも忠実に再現する。高付加価値で、差別化したかりゆしウエアが生産できる。また、生産機として信頼性が高いという。そしてコニカミノルタの技術サポート体制についても大変満足されている。要望事項としては、インク価格が高いこと。インク価格がもっと安くできれば、さらにデザインの幅が広がり、お客様へもお求め安い価格で提案できる。

布地のテクスチャに見えるが、実はインクジェットプリント。インクジェットだからなせる技

8.次なるオリジナル商品展開へ

次に、今後の商品展開計画についてお話を伺った。前処理の課題があり、カットソーやTシャツのインクジェットプリント化が遅れていたが、それが最近、技術的にクリアできた。若い男性向けオリジナル商品の展開を行って行く。最近、プリント柄のボクサーパンツが流行をしはじめている。その商品化準備の最終段階にはいった。この商品は、新規販売チャネルの開拓にも有効で、事業の新しい柱となる商品として期待している。またかりゆしウエアは、卸売りや小売りだけでなく、法人向けオリジナルユニフォーム受注にも力をいれている。すでに大手旅行代理店や一般企業、団体から受注を受けており、問合せも多いという。特にイベントでの使用等。ここでも企画・デザインから着見本まで、短期間で提案できる体制が、強みになっている。


沖縄市観光協会のオリジナルユニフォーム

9.女性社員が支える、素材選びからデザイン、縫製、生産

取材を通して、この会社の女性社員のパワーを強く感じた。商品企画からデザイン、生産、縫製と、すべての工程で女性が活躍している。この女性社員の活躍は、意図的なことではなく、たまたまの結果として、女性社員が多く活躍する環境になったと高里社長は偶然を強調する。より特長ある商品づくりとして、自社で綿花も実験的に生産を開始した。将来は、沖縄県産の素材で作った、正真正銘の沖縄ブランド品が世の中に登場するのもそう遠くない将来かもしれない。ここにも、同社のものづくりへのこだわり、新しいことへチャレンジする姿勢を熱く感じた。

10.かりゆしウエア「kukuru」直営店

(株)フジタカクリエイションでは、最近、本社工場直営店を新規開設した。現在販売している、「kukuru」(沖縄の言葉でこころという意味)のブランドで販売している、かりゆしウエアが、300種以上、様々なデザインのウエアが、所狭しと陳列されている。実際に手にとって、好きなデザインを確かめて購入できる。サイズも女性用Sサイズから男性用4Lサイズまで、幅広く取り揃えられている。また工場直営ということで、価格が、お買い得な商品も多数ある。沖縄へ行くチャンスがあれば、かりゆしウエアをおみやげに購入されてみてはいかがでしょうか。那覇空港から車で45分。行ってみる価値大いにありです。詳しくは、(株)フジタカクリエイションまで(http://www.fujitaka-cr.com/

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