日本の長時間労働が改善されない理由と対策 

長時間労働が減らない原因は、管理職の課題と職場風土といわれています。 
特に食品製造業は、製造業全体と比べて「労働時間が長く」「人が足りていない」状態です。そのような状態の食品製造業において、どうしたら長時間労働を改善できるかを「意識を変える」「行動を変える」「従業員を守り、育てる」の3点から解説していきます。

大きな変革だけでなく、明日からでもすぐに取り組めることもありますので、本記事を参考にして改善に取り組んでみてはいかがでしょうか。 

食品製造業における働き方の現状と課題 

それでは、まずは食品製造業における働き方の現状と課題からお伝えしていきます。
農林水産省食糧産業局では、食品製造業のおける働き方の現状と課題を下記のように発表しています。

1. 食品製造業の欠員率は、製造業全体と比べて2倍以上高い

食品製造業では、特に「商品生産(単純・熟練作業)」で労働力不足という結果になっています。

2. 労働時間は比較的長く、休暇取得は全産業並み

労働時間においては、月の所定勤務時間が全産業と比較して2時間ほど長く、超過時間においても4時間ほど長いという結果になりました。
休暇取得は全産業並みです。

1日あたりの勤務時間が全産業と比べて少し多く、それが積み重なり、月間で見ると労働時間が比較的長いのは「塵も積もれば山となる」という状態と言えます。

3. 食品製造業は他産業と比べ、低い労働生産性

食品製造業の労働整備率は、全産業平均の約7割、製造業平均の約7割の水準で低迷しています。
※労働装備率とは、従業員一人当たりの設備投資額を言い、有形固定資産額を従業員数で除したものです。 労働装備率が高い場合は、従業員一人当たりに対する有形固定資産の割り当てが大きく、一般的に設備投資がより進んでいると言えます。

特に、漬物や缶詰、パンといった業種の労働整備率が低い結果となりました。

4. 他産業と比べて、労働災害が多い

食品製造業の騒動災害発生件数は、他の製造業と比べて著しく多い状況です。

食品製造業では、特に店頭やはさまれ・巻き込まれなどの労働災害が多い状況です。どれだけ技術が進歩しても「人の手で行わなければならないこと」がある限り、労働災害が0になるのは難しいといえるでしょう。

なぜ、日本は労働時間が長いのか?

要因はさまざまですが、まず日本人の意識として「長時間働くこと」=「勤労の意欲が高いこと」と捉えられがちな点が挙げられるでしょう。

さらに昨今の人手不足により、1人当たりの業務量が過多になることや、無駄な業務が発生しているものの業務改善が行われないことが要因になっていると見られています。 

長時間労働の心身への影響

長時間労働を続けていると、十分な休息時間や睡眠時間を確保できず、疲労が蓄積されて心身の健康を害するおそれがあります。脳疾患や心臓病など、重大な病気を引き起こすリスクも高まるため、注意が必要です。

したがって、健康な生活を維持できる睡眠時間を確保し得るような労務管理が事業者には求められています。

しかし労働者自身においても、仕事の仕方や私生活の過ごし方などに課題があることも少なくはありません。事業者や管理監督者だけの対応だけでは不十分であり、労働者本人のセルフケアと家族などの周囲の人々におけるケアも重要といえます。

生産年齢人口は大幅に減少し、有効求人倍率は年々増加する

人手の確保がこれまで以上に厳しくなることを前提に経営しないと、働き手がいなくなり、企業の存続自体が問われかねません。有効求人倍率は年々増加傾向にあり、2018年1月時点で1.5倍になっています。

働き手は現状をどのように捉えているか

「⾷品産業の働き⽅に関するアンケート」によると、回答者の6割近い⽅が働き⽅改⾰に「まだ取り組めていない」と回答しています。
働き⽅改⾰は、取り組まないと既に働いている⼈の離職も防げず、今後の採⽤も困難となりかねません。お⾦もあまりかからない意識の改⾰を早急に進める必要があります。

そして、取り組めていない理由を従業員を対象に聞いたところ、1位は「トップの意識が低い」、続いて「日々の業務が忙しすぎて余力がない」という結果になっています。

対してマネジメント層を対象としたアンケートでは、取り組めていない理由の1位は「人材、設備、資金が少ないから」、2位は「企業規模が小さく、余力がないから」という結果になりました。

注目すべき点は、2位の理由です。従業員回答の「日々の業務が忙しすぎて余力がない」、マネジメント層回答の「企業規模が小さく、余力がないから」と、『余力』を作り出す工夫が必要といえます。

従業員が望む改善点

今回のアンケートによれば、職場で取り組んで欲しいこととして、 「週休2⽇制の徹底や年次休暇の取得促進」「給与⽔準の引上げ」に加え、「時間外勤務の削減」「ハラスメント等の改善」などが回答されています。

労働災害は他産業と比較しても多く発生している

労働災害については、特に⾷料品製造業において他産業と⽐較しても多く発⽣しています。
また、⾷品産業では、全就業者に占める⼥性やパートタイム労働者等の割合が他産業と⽐べて⾼く、⼦育てとの両⽴や柔軟な勤務時間など、様々な希望に応えていくことが⼈材の確保につながります。

長時間労働を改善する3つのポイント

長時間労働を改善するためには、次の3点を同時に進めていく必要があります。

  1. 意識を変える
  2. 行動を変える
  3. 従業員を守り、育てる

それでは、1つずつ順番に解説していきます。

1. 意識を変える

長時間労働や組織を改善するには、会社全体として動かなければうまくいきません。そのためには、まずはトップの意思を従業員にしっかりと伝えることが必要です。同時に、従業員自身が自主的に働き方の改革に取り組めるような雰囲気を醸成することも重要となってきます。

制度より先に、まずは社員同士が協力して働き方改革を行える風土を作ることが、働き方改革を成功に導くために大切なのです。 

また、管理者の思い込みと現場の意見が合わないと、制度を作っても意味がなく、従業員の意欲減退にもつながってしまいます。

まずは、従業員の声をしっかり聞き、実態を把握することが重要です。

人を増やしたり、経費を使わずに今すぐ取り組める方法として、次のようなものが挙げられます。

もし、長時間労働が良しとされる風土があるのなら、時間あたりの生産性を評価する制度を導入するなどして変えましょう。

2. 行動を変える

社会が変わる中、人口減少や高齢化といった要因によって、今まで「当然だったこと」や「普通だと思っていたこと」が通用しなくなっています。企業が直面する現状や課題を理解し、従業員の声や経営課題に基づいて、自社に合った取り組みを優先的に行うことが求められます。

仕事の生産性向上は、休暇を増やしたり、残業時間を減らすだけでは不十分です。せっかく提供する商品やサービスをおろそかにする結果になる可能性があります。ムダな作業を取り除くために業務の分析を行い、時間を節約しましょう。

また、残業が増えたり、休暇が取れない場合でも、上司に相談できる雰囲気がない場合があります。責任感が強い人ほど、一人で抱え込み、気がついた時には従業員を失うことにもなりかねません。

より効率的に働き、健全な生活を送るためには、各業務にかかる時間を正確に把握することが重要です。業務の分析によって、タスクごとの時間を分け、ムダな時間を削減し「ゆとり」を生み出すことができます。

3. 従業員を守り、育てる

長時間働くことや組織改善に向けて取り組むにあたり、最も重要な大前提は従業員の安全と健康を確保することです。

さらに、従業員にとって働きやすい環境を整えるために、時間や場所に柔軟に対応できる仕組みを導入し、従業員の能力を高める仕組みを作ることが必要です。従業員を守り育てることが、企業を守り育てることに繋がります。

仕事に取り組む従業員たちには、それぞれ満足の種類が異なります。仕事自体に喜びを見出す人もいれば、職場での環境や福利厚生に価値を見いだす人もいます。したがって、従業員が何を重視するかは個人により異なります。まずは、彼らが求めるものをしっかりと聞くことが大切です。

参照元:食品業界の働き方改革 早わかりハンドブック別ウィンドウで開きます

ガントチャートの作成・生産計画管理はAI・BIツールが行う時代に

近年では、食品製造業でもAIツールを活用して生産計画を立て、BIツールを活用してガントチャートを作成する企業も増えています。

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従来の人の手で作るものとは異なり、生産トラブルが起きても即時に段取りを再策定できることが大きなメリットといえます。食品製造業にありがちな、急な納期変更や在庫の適正化などを包括的に解消することが可能です。

無理のない効率的な生産計画を策定し、無駄なく、効率の良い生産体制にかえ、工場の持つポテンシャルを最大限高めることも可能です。

コニカミノルタジャパンでも、AIを活用した生産計画と、BIツールによるガントチャート作成サービスを取り扱っています。どのようなことができるのか詳しく知り、自社に合うツールなのかを確認されたい方は、下記フォームよりお気軽にお問い合わせください。

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