在庫管理の改善施策「在庫削減」の効果と方法

常に潤沢な在庫を保有していれば、販売機会を逃さずに売上アップにつなげることができますが、現実問題として在庫の持ちすぎや、製造業では作りすぎ等、過剰在庫は企業の経営に悪影響を及ぼします。今回は在庫削減について解説していきます。

在庫削減の目的とその効果

在庫を多く持つことはメリットもありますが、逆に収益悪化や在庫維持費用増加、キャッシュフローの減少など悪影響もあります。
在庫削減の目的は、過剰在庫によって生じている企業経営に対する悪影響を取り除き、経営の健全化を行うことです。
在庫削減を行うことによって管理費用や在庫維持費の削減にもつながります。健全な経営をしている企業は在庫削減を積極的に行っており無駄な在庫は持たないよう努力しています。

過剰在庫が招く経営への影響

過剰在庫はさまざまな面で経営に悪影響をもたらします。
在庫は資本が固定化されている状態ですので、資本の流動性が損なわれます。また在庫維持管理の費用増加や品質劣化にもつながる可能性があります。

経費が増え、収益性が悪くなる

過剰在庫というのは、必要以上に在庫が増える状態ですので、これまで在庫管理や棚卸を行っていたスタッフの追加や保管スペースが足りず外部倉庫を契約するなど、人件費や保管料などの管理コストが増加し、収益性を悪化させます。

資金繰りが悪くなり、不必要な借入金が増加する

在庫が増えると、管理するのに必要な人やもの、スペースも必要になります。在庫の保管スペースがなくなり、外部倉庫を契約する必要がでてくる等、スペースが増えるとそこを管理する人員の配置が必要です。また在庫管理のマテハンなどの機材の追加が必要になり想定外の資金が必要になってきます。

問題点が見えなくなる

製造業では、各工程間での生産バランスがかみ合っていない等の問題があり、在庫が増えすぎるとこれらの問題点が見えにくくなってしまいます。

最適な在庫金額・適正在庫

在庫削減を行うにあたり、まずは何をするべきでしょうか?
まずは現状把握をし、自社にとって最適な在庫金額、適正在庫を算出しましょう。

現状把握

在庫削減を行うにあたり、まずは現状把握から始めます。
今の状態を認識したうえで、自社にとって最適な状態を目指していきましょう。
在庫数や保管方法などの在庫状況、現場のルールや情報の管理の仕方など現場の細かい業務まで確認するとその結果、在庫管理の問題点も見つかる場合があります。

適正在庫の算出

適正在庫とは、欠品にならず、かつ余剰在庫にもならない、ちょうどよい量の在庫数のことです。
適正在庫の計算方法は複数ありますが、ここでは基本的な計算方法をご紹介します。
基本的な適正在庫の計算方法は「安全在庫+サイクル在庫」です。

  • 「安全在庫」とは、欠品を防ぐために最小限保持しておくべき在庫のこと。
  • 「サイクル在庫」とは、発注してから次の発注までの間に消費された半分の在庫量。

10日に一回発注する場合、5日目までに売れた数量がサイクル在庫となります。

最適な在庫金額

在庫削減をするにあたり、自社ではどのくらいの在庫金額が適正なのか?まずはここを知らなければいけません。
業種別別にもよりますが、売上に対する在庫金額の比率として、赤字企業は優良企業に比べて比率が高くなっています。自社の目標金額が決められない場合は、売上に対する在庫金額の比率8%以下を目指すと良いでしょう。

在庫を削減する9つの方法

在庫を削減する施策を9つご紹介します。製造業向けですが、他の業種でも転用可能です。

上流の工程で在庫を持つ

製造業において、部品から製品を作り上げる工程では製品に近づくほど在庫の用途は限られ、種類は増えていきます。1つの部品から複数の仕掛品ができ、その仕掛品から複数の製品ができるからです。部品、仕掛品、製品はすべて在庫です。つまり、上流工程では在庫の種類が少なく済みます。

部品や仕掛品の共通化

部品や仕掛品を共通化できれば在庫量を減らすことができます。例えば3つの製品を作る場合、3種類の部品が必要だったたが、1種類の部品を共通化することで、部品点数が減り、管理工数も削減できます。

原料に近い状態で在庫を持つ

同じ部品でもサイズ別に仕入れや管理をするよりも、ロールのような状態で仕入れ、社内で加工できる場合は、必要な時に必要な分だけ加工できれば、在庫としては1種類となり管理しやすくなります。

使用計画を立て作るべきものだけを作る

製造業では、いずれ使うからといって、今必要でないものを作ってしまうと無駄が発生します。作ってしまったあとに生産計画の変更などで使わなくなってしまい不要な仕掛品ができてしまうというようなこともありますので、きちんと計画を立てて、計画通りに作るべきものだけ作るようにしましょう。

発注点になる在庫量を決める

発注も計画的に行うようにするため、発注点を決めましょう。発注点とは、在庫が決まった量まで減った時に発注するように決めておく在庫数量のことです。勘や経験に頼って発注するのではなく、誰でも簡単に発注できるようにしましょう。

作業工程をシンプルにする

作業工程が多いほど仕掛品が増えます。作業工程を削減できれば仕掛品在庫を減らすことができます。

思い切って製品数を減らす

製品数を減らすことも選択肢として考えられるでしょう。例えば、ABC分析などで売れ筋商品と死に筋商品を分類し、死に筋商品の生産の中止を決断し、売れ筋商品に経営資源を集中させることで、在庫削減につながります。

一度に購入する数量を減らす

一度に購入する部品の量を減らすことで在庫量の削減ができます。部品の発注リードタイムとの兼ね合いも考慮しなくてはいけませんが、一日100個使用する部品を、一度に1000個購入したら10日分の在庫ですが、一度に500個購入にしたら、在庫は5日分に減ります。購入する部品の総量は変わりませんが、一度の発注量を減らすことで在庫削減が可能になりキャッシュフローの改善になります。

リードタイムを短くする

部品等の発注では発注リードタイムを意識して発注タイミングを決定しますが、発注リードタイムを短くすることができれば、一回の購入量を減らすことができます。発注リードタイムが半分になれば、一回の発注量も半数で済みます。

まとめ

今回は在庫削減についてご紹介しましたが、在庫削減には正解がありません。各社それぞれの状況によって改善策は異なります。今回すぐに始められるような一般的な内容ですので、自社の状況と照らし合わせてみて実行に移してみてはいかがでしょうか。

【小売業・食品製造業・飲食業向け】

専門知識が不要&シンプルな操作性で高精度な需要予測ができるAIsee(アイシー)があなたの職場の業務課題を解決します。

  • 食品廃棄ロス削減
  • 製造計画作成の効率化
  • 発注作業の属人化解消
  • 在庫の最適化
  • 商談/交渉時の数値提示
  • 販促/販売戦略の作成

など、AIseeを用いることで、日々の業務に関わるテーマの効率化に寄与します。

現在、1か月の無料トライアルで、カスタマーサポートを含む全機能をお試しいただけます。
機能にご納得いただけなければ、無理な継続の勧誘はいたしませんのでご安心ください。

今、話題のAIを無料で使用できる機会です。ぜひお試しください。

資料請求、ご相談、ご質問などお気軽にお問い合わせください。