高彩度トナー~ディスプレイの色を忠実に再現する~

開発の背景

ディスプレイと印刷の色再現の違い

L*a*b色空間表示による比較私たちが見慣れたデジタルカメラの撮影画像やスマートホン、パソコンなどのディスプレイの色合いは、これをオンデマンド印刷すると、「何か物足りなくなってしまう」という感じが否めませんでした。
それは、ディスプレイは光の3原色である赤緑青(RGB)によって構成されているのに対し、印刷は印刷プロセスの4原色であるシアン・マゼンタ・黄・黒(CMYK)という異なった色再現によるからです。すなわち、ディスプレイでは発光した色を見るのに対して、印刷はそのものが光っていないので反射光の色を見ているという大きな違いがあるということです。
この根本的な壁を乗り越えて、ディスプレイの鮮やかで透明感のある色合いを紙の上で表現したい。その欲求はオンデマンド印刷に関わる者すべてにありました。

課題

  • ディスプレイの色に近い色が印刷でも再現できる、鮮やかな色のトナーを作る

コニカミノルタの技術

高彩度で高明度なトナーを完成

コニカミノルタは、低温定着を特長とする重合法トナー「デジタルトナーHD+」において、新しい着色剤(色材)を独自の設計・生産ノウハウを用いて開発し、彩度と明度をさらに高め、RGBに近い色再現領域を実現した「高彩度トナー」を完成させました。これにより、従来、ディスプレイ上では表示できても印刷では再現できなかった、鮮やかで透明感のある色合いを実現させました。

従来トナー/高彩度トナー

L*a*b色空間表示による比較

高彩度であるだけでなく、印刷物に要求される耐候性が高く(温度・湿度・光などに強い)色あせしにくいという特長も併せ持っています。
また、ドライトナーであるため、印刷後の乾燥が不要で、印刷納期の短縮化にも貢献します。

※現在、「高彩度トナー」は高彩度印刷対応機にのみ搭載しています。

成果

  • 一般的なCMYKよりもマゼンタ、ブルー、グリーンの色空間を拡大し、RGBに近い色再現領域を実現した
  • 温度・湿度・光などに対する耐候性を高め、色あせしにくくした

技術ポイント

ポイント1:色材設計技術

トナーにはさまざまな素材が含まれていますが、その中で色に関係するのが色材です。「高彩度トナー」では、コニカミノルタが保有するカラー色材技術を応用し、分子設計を基に銅キレート型のマゼンタ色材とフタロシアニン型のシアン色材の開発に成功しました。
この開発では、ディスプレイで見た色を再現するために必要な分光吸収特性について最適化を進めながら色材の分子設計を行い、長年培ってきた合成技術を駆使し、良好な吸収スペクトルを有し、最適な色相角と彩度を得られる色材を完成しました。

マゼンタ色材の分子構造/シアン色材の分子構造

特にマゼンタ色材は、コニカミノルタのカラー写真に実用していたピラゾロトリアゾールという分子骨格をベースに、昇華型プリンターに搭載した色素のキレート化技術を用いた大変ユニークな色材で、従来の色材ではできない高い色再現性を実現しています。
また、これらの色材は、化合物として大変安定で温度・湿度・光などに対する耐候性が高く、色あせしにくいという特長も持っています。

ポイント2:キレート染料を使ったトナー生産技術

「デジタルトナー」(重合法トナー)の製法である「重合法」では、プラスチックの元になる物質(ラテックス)と着色剤(色材)を化学反応で結合させてトナー粒子を作ります。
「高彩度トナー」でポイントとなるのは、新しく色材として導入したキレート染料の発色です。キレート染料は、従来の色材とは異なった構造をしているため、これまでと同じ生産プロセスでは、キレート染料本来の色合いをトナーとして発色できないという課題がありました。そこで、以前に開発した昇華型プリンターでのノウハウをもとに、ラテックスとキレート型色材が化学反応で結合するときに発色させるという新しい生産プロセスを導入し、鮮やかな発色が可能となりました。
このように、新たな色材設計技術と新たなトナー生産技術を作り上げたことで、他社の追随を許さない「高彩度トナー」が誕生したのです。

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