UV硬化インクジェットインク~薄く付けてもしっかり硬化~

UV硬化型インクジェットは,近年プラスチックやボード等の非吸収性媒体に対する印字方法として、またVOCフリーで環境に易しい印字方式として、看板や屋外広告などの大判印刷やプリント基板へのマーキングなどの産業用途を中心に普及が進んでいます。

UV硬化の反応タイプとしてはラジカル重合方式とカチオン重合方式があります。現在は素材選択の多様性からくる設計の容易性からラジカル重合方式が主流ですが、コニカミノルタでは、カチオン重合方式を採用し、ラジカル重合とは異なる特性を持つインクジェットインクを開発しました。これまでの技術では苦手としていた新たな分野への展開が期待されます。

カチオン重合の反応式

第一ステップは光酸発生剤から発生したプロトン酸がモノマーを開環しモノマーカチオンを生成します。成長反応では開環したモノマーカチオンが活性種となって重合が進みます。
カチオン重合はリビング重合であるため、系内に酸が存在すると暗反応が進行して長期保存性が損なわれます。このためインクの安定性確保が難しいのです。コニカミノルタでは熱安定性に優れた配合設計により優れた貯蔵安定性を得ることができました。

[Initial Stage][Propagation Stage]

コニカミノルタカチオンインクの特性

薄膜硬化性

ラジカル重合では、酸素が活性ラジカルをクエンチする影響を受け、特に薄膜になると硬化性が低下します(酸素重合阻害)。カチオン重合では酸素重合阻害がないため、薄膜でも低エネルギーで瞬時に硬化することができます。これにより、コニカミノルタカチオンインクでは小液滴で非常に高精細な画質を高速に印字可能です。これにより、UVインク特有の盛り上がり感を低減した画像を作成できます。

Fig.1 Curing energy versus thickness of radical link and cationic ink. Fig.2 Curing sensitivity of Cationic polymerization free radical polymerization in N2,and Free radical polymerization in Air(3μm).

低臭気

コニカミノルタカチオンインクの大きなメリットとして、インクの臭気が低いことがあります。市販の多くのラジカルインクでは、アクリルモノマー独特の強い臭気があり、オペレーターの長時間の印字作業や、印字物の屋内掲示が難しい場合が多いです。コニカミノルタカチオンインクでは、光開始剤やモノマーの選択、未反応物の残存を抑えた重合系の設計により、印字作業も臭気のストレスを殆ど感じさせず、また印字直後から屋内掲示可能なレベルの低臭気を実現しました。

安全性

UV硬化系のような反応性を備えたインクにおいては、使用する素材の安全性が重要になります。既存のUV反応性素材では、強い皮膚刺激性を持つものも多いです。コニカミノルタでは、安全性と反応性に優れた素材を新規に開発し、安全性に配慮したインク設計を行っています。

物性

コニカミノルタでは、モノマーや開始剤の種類、バインダーの配合により,架橋状態を制御し,硬化膜を所望の物性に調整する処方設計技術を開発しています。これまで密着の難しいといわれている無処理ガラス基材への良好な接着性など、既存の技術でカバーできない基材への適用が期待されています。

Picture1 Printed sample on qlass with Konica Minolta captionic ink.

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