タルボ・ロー干渉画像撮影装置~“軟骨を診る”新たなX線撮影技術~

開発の背景

リウマチ診断に不可欠な軟骨画像

世界でも希なスピードで進む日本の高齢化。それにともない、変形性関節炎や関節リウマチ疾患の患者数が増大しています。とりわけ関節リウマチ疾患は重病化すると車いす生活を余儀なくされる深刻な病気です。
こうした病気の進行度合いや治療効果の確認に欠かせないのが軟骨の診断です。現在、軟骨の画像診断はMRIが主流ですが、大がかりな機材を使うため撮影コストが高く、撮影時間も長いことから患者さんへの大きな負担が問題になっています。

軟骨を低コストでスピーディーに撮影するには?

そこで、より低コストでスピーディーなX線画像で軟骨を撮影したいというニーズが高まっています。ただし、既存のX線撮影では軟骨のように柔らかい組織を写すことは難しいため、新たな撮影技術の確立が不可欠です。乳がんをはじめ、軟骨以外にも柔らかい組織の画像診断が待たれる病気は多く、幅広い分野への応用も期待されています。

課題

  • 軟骨などの柔らかい組織を低コストかつスピーディーに撮影したい

成果

  • 通常の病院で使用されるX線源で軟骨の撮影に成功

コニカミノルタの技術

タルボ・ロー干渉画像撮影装置

被写体 吸収画像 小角散乱画像 微分位相差画像 東京大学、兵庫県立大学との共同研究により、タルボ・ロー干渉計と呼ばれる原理に基づいて、1万分の1度ほどのX線の屈折を利用した革新的なX線撮影装置を開発しました。これにより、今までの技術では得られなかった軟骨など体内の柔らかい組織についてもX線画像を撮影することに成功しました。
この装置は、病院などで使用されている通常のX線源を用い、撮影対象を通過したX線の位相(電磁波の波形における波の位置)の違いから画像の濃淡(コントラスト)を生成し、1回の撮影で従来の吸収コントラストのX線画像の他に、微分位相画像と小角散乱画像を得ることができます。
この装置でサクランボを撮影すると、従来のX線画像では画像化できない、サクランボの種の内部の胚乳を微分位相画像で、維管束を小角散乱画像で明瞭に描写することができます。

微分位相画像では、従来のX線撮影では見えない軟骨の輪郭が描出されました。リウマチを患うと、まずこの軟骨組織に変化が現れるので、本装置がリウマチの早期診断に有用であると期待されます。また今後は、骨の周囲の病理変化の他に、軟部組織に埋もれた病理組織(例えば乳癌)などの画像診断への臨床応用が期待されています。

装置の構成と原理

x線源 被写体 画像検出器 本装置の最大の特徴は、3枚のすだれ状X線格子(G0、G1、G2)を用いることによって、被写体によるX線の屈折をモアレ縞として可視化することです。 上部に配置されたX線源から縦方向にX線が照射され、G0、被写体、G1、G2を通って画像検出器に到達します。照射されたX線がG0を通ることにより、位相が揃います。位相の揃ったX線がG1上の被写体を通過する際に、被写体による位相の変化が発生します。X線がG1、G2を通過する際に形成されるモアレ縞には、この位相変化が反映されます。こうして得られたモアレ縞を画像検出器で検出し、そのデータを演算処理することによって、吸収画像、微分位相画像、小角散乱画像の3つの画像を生成します。

コントラスト生成の仕組み

G2上に形成されるG1の模様(被写体により歪んでいる)+G2のパターン→重なり合いによるモアレ縞模様 格子の縞模様を解像しなくても、モアレ縞模様が画像検出器で検出される。

3つの画像

計測される画像をコンピュータに取り込み、演算処理を施して最終画像を出力します。同時に3つの画像が出力され、それぞれ吸収画像、微分位相画像、小角散乱画像と呼んでいます。
吸収画像:従来の装置で得られる画像に相当。
微分位相画像:X線が比較的強く曲げられるときにコントラストが得られる。構造の輪郭が捉えやすい。
小角散乱画像:数ミクロンから数十ミクロンの細かい構造体が密集しているところでX線が強く散乱され、その分布がコントラストとして現れる。たとえば、線維組織や微小石灰化が多いところが検出される。

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