位相コントラスト技術~マンモグラフィを変えた新たな技術~

位相イメージングの原理

X線が物体を透過するとX線画像が形成される(Fig.1)。これがX線撮影の原理で、吸収コントラストと呼ばれている。一方、X線は可視光同様に電磁波なので、物体を透過するとX線の位相が変化する。この位相変化が、一般に屈折や干渉として観測される。この位相変化に基づくX線強度差あるいは画像コントラストが位相コントラストである。

Fig.1 位相イメージングの原理

位相コントラスト画像とは

この位相コントラスト画像は、従来の密着撮影画像と比べると鮮鋭性が良いことが分かる。空気との境目に黒い筋が見え、チューブの中の気泡の辺縁が白くなっている。

これまで位相コントラストは、X線の干渉によって生ずると言われており、医療用で用いるX線管では、被写体からX線検出器を離して撮影する拡大撮影で、幾何学的不鋭によって位相コントラストが消えると考えられていた。

我々は、X線が干渉しない前提で、幾何光学的な理論解析から、マンモ撮影用Mo陽極X線管の0.1mm小焦点で、その焦点から被写体までの距離が0.5m以上、被写体からX線検出器までの距離が0.25m以上で位相コントラストが得られることを見出した。

Fig.2 位相コントラスト画像とは

PCM画像(左)と、従来のSF画像(右)

Fig.3に臨床画像の一例を示す(滋賀医科大学提供)。被写体線量が同一の撮影でえられたPCM画像(左)と従来のSF画像(右)とを比べると、PCM画像では乳房構造が鮮明に描写されている。そして、多くの臨床画像の検討の結果、マンモグラフィの使命とも言われる微小石灰化像の描出性は、従来のSF画像以上であると評価された。

今後、このシステムが乳癌の早期発見に貢献することを期待して止まない。

Fig.3 PCM画像(左)と、従来のSF画像(右)(滋賀医科大学提供)

デジタルPCMシステム

この技術を応用して開発したシステムがデジタルPCMシステムであり、乳房撮影装置(MERMAID),コンピュテッドラジオグフィ(REGIUS190)、そしてドライ銀塩画像プリンタ(DRYPRO793)で構成されている。

本システムでは、世界で初めて位相コントラスト技術を実用化した。出力画像は従来のSFシステムと同等の解像度を有し、更に最高濃度4.0でドライフィルム上に出力される。

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