有機EL照明 ~熱くならない光・りん光~

開発の背景

薄いシートのようなあかり

電球のない、薄いシートのようなあかり、それが有機EL照明です。
有機EL照明は、これまでの照明とは根本的に違う仕組みで出来ています。有機物の中には電圧をかけると発光するものがあり、その様な有機物を薄いプラスチックやガラスのシートに形成して電圧をかけ、発光させるのです。発光する部分の厚みはわずか0.1µmくらい、シート全体でも1~2mmで、面全体が光るので、これまでの照明にはなかった、まったく新しいデザインや用途が生まれます。
高いエネルギー利用効率に加え、蛍光灯と違って水銀を使用しないために環境負荷が低く、また、紫外線を含まないため目への刺激が少ない、人に優しいあかりでもあります。

照明として使うためには

発光材料の発光効率比較(理論値) 現在、さまざまな分野で開発が進む有機ELですが、発光の種類には2種類あります。1つはすでに携帯電話のディスプレイなどで実用化が進んでいる「蛍光発光」。もう1つが「りん光発光」です。
2種類の発光には効率に大きな差があります。理論上、りん光発光ではエネルギーが100%光になるのに対して、蛍光発光では25%しか光に変換されず、残りは熱になってしまうのです。従って、省電力、発熱の少なさを考えるとりん光発光のほうが好ましいと言えます。
熱くならない、りん光発光ならば、人や物、食品などのそばでも安心して使え、今まで不可能だった場所での用途が広がります。
いいことづくめの有機EL照明ですが、汎用的な照明として使うためには、蛍光灯やLEDに引けを取らない発光寿命と低コスト化の課題をクリアしていく必要があります。

課題

  • 熱くならない「りん光発光」を採用する
  • 省エネのための高い発光効率
  • 蛍光灯なみの発光寿命

コニカミノルタの技術

独自開発の青色りん光発光材料

コニカミノルタは、りん光だけで照らす照明機器を2011年に世界で初めて商品化しました。有機EL材料で白色照明を作る場合、一般的には青色、緑色、赤色に光る3種類の発光材料を組み合わせて作りますが、中でも青色りん光発光材料の開発は困難とされていました。コニカミノルタは、この青色発光材料の開発に取り組み、世界で初めて実用化に成功しました。
コニカミノルタの有機EL照明パネル サンプルキット「Symfos OLED-010K」は、自社開発の青色りん光発光材料の採用により、発光材料の全りん光化を実現し、量産レベルで発光効率45ルーメン/Wという高い発光効率を達成しています。また、発光寿命も白熱電球の数倍に相当する8,000時間です。さらに、光の質にもこだわり、発光面内でムラのない光、見る角度によっても色や光量が変化しにくい「光の均一性」を特長としています。

成果

  • りん光だけで照らす照明機器を世界で初めて商品化
  • 発光効率1ワット当たり45ルーメン(商品仕様において)
  • 発光寿命8,000時間(商品仕様において)

技術ポイント

ポイント1:二分子同時設計

Normalized Lifetime of Blue 有機EL照明を光らせるためには、発光材料(ドーパント材料)の他に、電子(エレクトロン)や正孔(ホール)を輸送し発光材料に受け渡すホスト材料が必要です。発光層では、ホスト材料の中に微量の発光材料が含まれており、互いに影響し合っています。
例えば、右図のように、BE-1という発光材料ではホスト材料をHOST-A~Dと変えても発光寿命はあまり変わりませんが、この改良型であるBE-2という発光材料はホスト材料の選択によって発光寿命が劇的に変わるのです。この発光材料とホスト材料の組み合わせで大きく寿命性能が異なる事実から、材料同士の適切な組み合わせを正確に理解し、設計することこそが、寿命向上の鍵であると言えます。
コニカミノルタの有機EL材料開発の最大の特長は、発光材料と、それと組み合わせて使うホスト材料とを、独自の分子設計技術「二分子同時設計」を使って両方一緒に作り上げるところにあります。あたりまえのように思えますが、発光材料とホスト材料の開発を分子設計、合成、評価という一貫した流れで同時に進めるには、カラー写真で培ったノウハウが存分に活用されており、他ではなかなか真似することができない高度な開発手法なのです。

ポイント2:評価技術

実験室レベルで技術が確立されても、それを商品化するとなると、品質の良いものを量産することが求められるようになり、そこには生産技術、評価技術といった生産現場ならではのテクノロジーが必要です。

有機EL照明パネルを量産化する際には、次にあげる信頼性評価技術の開発がポイントとなりました。

1.発光寿命性能の予測

発光寿命性能予測に対し、短時間で確度の高い輝度減衰の推定方法を確立し、出荷前の検査方法として採用しました。寿命挙動の統計的解析を基に、寿命評価の加速試験方法と推定方法を独自に開発し、短い評価時間で数千時間以上の輝度減衰の推定が可能となりました。

2.ショート不良の事前予測

駆動中に絶縁破壊が生じて短絡すると、非発光となるショート不良が起こります。これを防止するために、リーク特性とショート不良確率の関係を統計的に明確にし、事前にショート不良確率の高いパネルを検出可能な検査方法を確立しました。

これらの客観的かつ定量的な評価技術を開発する事によって、有機EL照明パネルの品質評価を短時間で精度良く行う事が可能となり、商品化が実現しました。

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