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レアアース資源再生の取り組みが
平成25年度「資源循環技術・システム表彰 奨励賞」受賞
~独自の酸化セリウムリサイクル技術が生んだ循環システムの革新性に高い評価~

2013年10月15日

コニカミノルタ株式会社(本社:東京都千代田区、社長:松﨑 正年、以下、コニカミノルタ)は、ガラス研磨材として用いる酸化セリウムのリサイクルの取り組みに対して、平成25年度「資源循環技術・システム表彰 奨励賞」(主催:一般社団法人産業環境管理協会、会長:冨澤 龍一、以下、産業環境管理協会)を受賞いたしましたのでお知らせいたします。

「資源循環技術・システム表彰」は、産業環境管理協会が経済産業省の後援を受けて、廃棄物の発生抑制(リデュース)、使用済み物品の再使用(リユース)、再生資源の有効活用(リサイクル)に寄与する優れた事業や取り組みを表彰し、その奨励・普及を図ることにより循環ビジネスを振興することを目的とした制度です。「奨励賞」は、実績期間が3年未満で、新規性が高く、新たなビジネス創出の観点から今後なお一層の進展が期待される事業や取り組みに対して授与されます。

今回の受賞では、従来廃棄されていた使用済み酸化セリウム(レアアース(希少金属)の一種)を再生・再利用するに当たり、リサイクルのための大がかりな設備投資やランニングコストを必要とせず、生産拠点内(オンサイト)で処理可能であること、回収率が極めて高いこと、さらに再生品が新規品と同等の品質を確保したことなど、低コストで高効率の資源循環を推進した点が高く評価されました。

本賞の表彰は、10月18日(金)に都内にて行われる予定です。

受賞テーマ

酸化セリウム研磨材のリサイクル

取り組み内容

コニカミノルタの製品である、レンズやHDD用ガラス基板の生産工程では、ガラス研磨材として酸化セリウムを使用しています。研磨によって出てきたガラス成分がスラリー中に多く混ざってくると研磨効率が低下するため、ガラス濃度が一定量を超えたスラリーは廃棄して新しいものに交換する必要がありました。

液体と固体粒子との懸濁液。使用済み研磨材スラリーには、酸化セリウム、ガラス、水などが含まれている。

コニカミノルタでは、独自の「グリーンファクトリー認定制度」(生産拠点の環境負荷低減活動)の一環として、資源の有効活用と資源循環を積極的に推進しています。使用済みスラリーを再生利用することができれば、排出物になっていた使用済みスラリーを削減し、レアアースであるセリウムを有効活用できることに着目し、リサイクル技術の開発に挑戦しました。

酸化セリウムでの研磨は、研磨材がガラスの表面を機械的に削っているだけでなく、酸化セリウムとガラスの化学的作用も付加することによって表面の微細な凹凸をなめらかにしているため、使用済みスラリー中では研磨材とガラス成分が凝集してしまい、ガラス成分を取り除くことは困難でした。そのため、一般的な再生技術では再生率が極端に低い、あるいはコストがかかりすぎるなどの課題が解決されていませんでした。

こうした課題を背景として、コニカミノルタはフィルム開発とトナー開発で長年培ってきた高度な材料技術をベースに、酸化セリウム研磨材の高純度なリサイクル技術開発に成功しました。従来の一般的な方法では困難とされていた、酸化セリウムを使用済みのスラリーから100%再生でき、しかも元研磨材の品質と同等まで再生できる技術です。

さらに、このリサイクル技術では大型設備を必要としないため、短時間、低コストでリサイクル設備の設置が可能という利点もあります。そのため、リサイクルのために使用済みスラリーを別の場所に運ぶ必要がなく、生産拠点内で効率的に酸化セリウム研磨材を再生することができます。

また、リサイクル技術の開発では、スラリーの中の状態をミクロン単位で解析する必要があり、その評価技術の確立も重要な課題でした。コニカミノルタがこれまで積み重ねてきた独自のコア技術である微細な粒子の状態解析に関する技術やノウハウを活用し、高度な評価技術を社内に保有することで、品質の確保と開発のスピードアップを実現しました。

現在、この酸化セリウム研磨材リサイクル技術は、国内外の光学デバイスの生産拠点に導入されており、これによって工程内の排出を大幅に削減し、研磨工程全体でのリサイクル率95%という極めて高いレベルを達成しています。

酸化セリウム研磨材リサイクル技術は、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の平成22年度希少金属代替・削減技術実用化開発助成事業のテーマとして採択され、その助成を受けて開発されたものです。

これからも、コニカミノルタは、コミュニケーションメッセージ「Giving Shape to Ideas:革新はあなたのために。」のもと、資源循環型社会の形成に貢献する様々なイノベーションの創出に取り組んでまいります。

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