少ロット印刷・短納期・省コストを実現する オンデマンド印刷システム
今回取り上げる未来の技術は、小説のタイトルでもある『印刷製本マシン くるみちゃん』のモデルとなった「オンデマンド印刷システム機器」です。
小説の中で登場人物の教師のタツヨシも愛してやまない印刷製本マシン、実はすでに現実の社会で活躍し始めています。
いったいどんなマシンでしょう。そしてどこで活躍しているんでしょう。
その秘密を知るため、三浦しをんさんが訪れたのは品川にあるコニカミノルタのデジタルイメージングスクエア。広報担当の丸山さんにデモを交えて説明していただきます。あ、そうそう、「くるみちゃん」という名の秘密はまた後ほど。
「そもそもオンデマンド印刷システムって、何ですか?」
まずは三浦さん、丸山さんにストレートな質問です。
「オンデマンド印刷システムは、オフセット印刷のような『版』を作らずに、PCで作成されたデータから直接印刷できる技術です」
版? 版ってなんでしょう?
「従来のオフセット印刷では、印刷用紙に原稿を転写するための文字や絵などを凹凸で表し出した、板状のフィルムや金属板をつくっていました。それが『版』です。文字を印刷するときは、昔は一文字ずつ活字を拾って組んでいましたが、最近ではPCから直接版を作る方式に変わっています。いずれにしろ、書籍ならば1ページごとに『版』をつくり、それから印刷をしていたわけです」
なるほど。
「ところが、『版』をつくって印刷するのは、同じデータを大量に印刷する物には向いていますが、小ロットだけ印刷したい、たとえば書籍を100冊だけ作りたい、という需要に対しては、どうしても一冊当たりの単価は割高になります。またページ分だけ一つ一つ版を作るのには時間もかかります」
ほおほお。
「そこで、オンデマンド印刷システムです。先ほどお話ししましたように、オンデマンド印刷システムの場合、版を作らずに、パソコンで普通に作成したテキストデータをマシンに出力指示を出すだけで、その場ですぐに印刷から製本までしてくれちゃうんです」
「え、データを持っていれば、すぐに目の前で本ができちゃうんですか?」
作家三浦しをんさん、本が目の前でできちゃう、という話に飛びつきました。
「じゃ、細かい説明はあとにして、まずは本を目の前で作っちゃいましょう!」
不思議な白いガムの正体は?
そこには小型乗用車ほどの長さのグレーの機械がありました。これが、オンデマンド印刷システムのマシン?
「……なんだか、コピー機の親分みたいですね」
「ははは、三浦さん、鋭いです。オンデマンド印刷システムの仕組みのベースにあるのは、コピーやプリンターの技術と同じなんですよ。こちらがフルカラー・オンデマンド高速印刷システム『bizhub PRO C6501/C6501P』です」
「フルカラー? カラー印刷もできるんですか?」
「できます。一般の印刷とほぼ同等の美しさです。さっそく始めましょう。まずこいつをマシンに入れます。なんだかわかりますか?」
取り出したのは、1cmほどの真っ白な塊です。
「エチケットガムみたいですね?」
「これは製本の際の糊づけに使う、糊なんです」
「糊!?」
ガムにしか見えません。
「この糊をこちらのスロットに投入します。出力前には機械が暖気運転を始めるのですが、この時、固形の糊を溶かして糊付けしやすいようにします。印刷したばらばらのページを糊付けできるようになるまで、ちょっと時間が必要なんですね」
「へえ、ウォーミングアップが必要なのか。なんだか人間っぽいですね」
「三浦さん、こちらのスロットに糊を投入してください」
「じゃあ入れてみます」
三浦さん、糊をつまんでスロットに投入しました。
機械が暖気運転を始めるとウインウインと音を立てて、カタカタカタといろいろな部位が動き始めました。まさにウォーミングアップという感じです。
「さあ、マシンもあったまりました。いよいよ印刷です」








