ホログラムってなんだろう!?
行方不明になったカニコを探す兄のミノルが、不思議なメガネをかけて鳥(バード)が見つけたカニコの映像を受信し、メガネに映し出す印象的なシーン。まさにSF的な場面ですが(まだ読んでない方はぜひ小説でお楽しみください)、実はこのシーンで使われている「遠隔地の映像が見えるメガネ」のモデルとなった技術が、コニカミノルタにありました。
今回は、ホログラム技術を利用して、専用メガネの内側に映像を浮かび上がらせるメガネ型ディスプレイ「ウェアラブル・コミュニケーター」の世界を、三浦しをんさんと探検してみましょう。
「こんにちは、よろしくお願いします」
東京・日野市のコニカミノルタの工場。説明役として登場頂いたのはコニカミノルタでウェアラブル・コミュニケーターを開発している笠井さんです。
「あれ? どちらにいらっしゃるんですか?」
三浦さん、驚きの表情です。それもそのはず、笠井さんが現れたのは、工場内の一室にある大きなモニターの向こうだからです。
「実は、大阪のコニカミノルタの技術開発拠点からテレビ会議システムを使ってお話ししています。ちょっと未来っぽいでしょう」
いきなりカマしてくれます、笠井さん。
「今回ご紹介するウェアラブル・コミュニケーターは、2つの技術から成り立ってます。光のすべてを記録し、再現する「ホログラム技術」と、遠隔でのコミュニケーションを可能とする「通信技術」です」
「光のすべてを記録する…ホログラムってなんですか?」
三浦さんも初めて聞く言葉です。
「ホログラムの語源はホログラフィ。もともとの意味はギリシャ語で「すべてを記録する」というものでした。ホログラムとは、光のすべてを記録した画像や映像のことで、ホログラフィはその製造技術のことをいいます。三浦さん、『トータルリコール』という映画、ご存知ですか?」
「はい、たしかアーノルド・シュワルツェネッガーが主演したSF映画でしたよね」
「あの映画で自分の分身をホログラムで再現して、敵対する相手をかく乱するシーンが出てきます。SFの世界では昔からメジャーな存在なんですよ」
「…笠井さん、実はSFオタク、ですか?」
オタクにはうるさい三浦さんです。
「ははは、バレましたか。実は、映画や小説や漫画までSFが大好きでして、研究開発の仕事もSFで出てきた未来技術を実現したいから、という面がありますね」
笠井さん、筋金いりです。
「ホログラムの説明に戻りましょう。ホログラムを作製する際、明るさ、色、光の方向までも記録できるのがホログラムの特徴です。まさに『光のすべてを記録する』わけですね。三浦さん、おわかりいただけましたか?」
「なんとなく、理屈はわかったのですが……」
ここは百聞は一見にしかず。ホログラムを三浦さんに見ていただきましょう!
実機でのデモに三浦さんも感動
「三浦さん、目の前の机の上に、メガネみたいなものが置いてありますね。それがウェアラブル・コミュニケーターです。そちらをメガネのようにかけてみてください」
「これ、を、ですか?」
目の前にあるのは、まさにメガネそっくりの機械。ウェアラブル(身につけられる)というだけあって、非常に軽いつくりです。レンズ部分はシースルーで、向こうが普通に透けて見えます。メガネのつるの上には小さな視線カメラが仕込んであり、こちらで三浦さんの見ている景色を記録していきます。さらにイヤホン、マイクも備わっています。
「えーっ、すごい。目の前に笠井さんが映像が小さく浮かび上がっている!わあ、風景の中に映像が浮かび上がっている!」
さっそく装着した三浦さん、思わず声をあげました。
「それがホログラムによる映像です。視界の中に浮かび上がるように表示されることから、私たちは"フローティングイメージ"と呼んでいます。」
笠井さん、してやったり、という笑みを浮かべます。
「一見素通しのメガネのレンズ部分にディスプレイ機能が仕込まれていて、こうしてフローティングイメージを再生できるんですよ」
「たしかに、メガネ自体は素通しで向こう側がちゃんと見えるのに、一方で視線の手前に笠井さんの顔が浮かび上がっている。とっても不思議な感じです」
驚く三浦さんに、笠井さん、種明かしをしていきます。
「私の目の前にあるパソコンのディスプレイ上部にカメラを据え付け、このカメラが撮った映像を、ワイヤレスネットワークを介して、三浦さんのかけているウェアラブル・コミュニケーターに映し出している、というわけです」
三浦さん、思わずため息をつきます。
「こんな技術がもう実現しているんですね。SF映画みたい」
「一方で、いま三浦さんが東京で見ている映像、ウェアラブル・コミュニケーターについた視線カメラがとらえた映像も、私の目の前のパソコンに送られています」
すると、メガネのようなウェアラブル・コミュニケーターのつるに手をやりながら、三浦さん、笠井さんに尋ねました。
「ひとつ、聞いていいですか?」









