
西アフリカに渡って3度目のことだった。いつも漂う空気のような何気ない一瞬を撮影したいなぁと漠然と考えていた。作品の登場人物は、道端で偶然出会った人、数年前からの友人たちなど様々だ。日常生活を共にしていくと、人々の間の色濃いつながりを感じるようになった。外国人としての自分は入り込めない領域で、改めて日本人たる自分自身のものの見方や由来について考えさせられる。「いかに彼らの普段の姿を伝えるか」というテーマを掲げたものの、私が入ることで空気が変わってしまうこともある。撮影期間内は、できるだけ多くの家庭を訪ね、私自身が西アフリカの文化に染まるように心がけながらシャッターを切った。
数年ぶりに再会したガンビア人の友人は、驚くほどげっそりと痩せていた。「昨日までマラリアにかかっていた」と言うが…。地元のレストランで食事をおごると病み上がりにも関わらず、鶏肉とフライドポテトをぺろりと平らげた。食事風景を撮りたい、と話すと困惑の表情を浮かべた。「リーマンショック以降、職を失い、住む場所も無くし、何日も食べられない日々が続いている。家に招待したいのだが、長男の立場でこの状況では実家に帰ることができない。」後日、彼の友人宅を訪ね、私が自ら食料を調達し、そして一つのお皿を囲んだ。もしかすると、同じように町中にろくに食べられていない人々が潜んでいるのだろうか、と思うと気が沈んだ。
アフリカにある独特の活力、大切なものが見えやすい、よりシンプルに構成されているような世界に憧れと安堵感を覚える。シャッターを切りたい、と自然と思うのは、現地の日常世界に溶け込んでいるその感覚かもしれない。
アクセス