日本には古来より、自然と人が調和して暮らす独自の生き方があります。滋賀県北部にはクヌギ、コナラだけでも2万本と言われる広大な森があり、何百年にわたって人々が利用してきました。はるか悠久の時を森が守られてきた背景には、ある秘密(知恵)が隠されています。木を伐採する際、人々は必ず切り株を残しておきます。すると、そこから“ひこばえ”と呼ばれる若い芽が勢いよく芽生えだし、20年ほどで再利用できるようになるのです。繰り返し伐採されたクヌギは、根元が大きく変形し、地元で“やまおやじ”と呼ばれる、大きなウロの開いた独特の姿となります。 そのウロには小鳥やヒキガエル、ミツバチなど多くの生きものが住みつきます。夏になると、甘い樹液にカブトムシが群がり、メスをめぐって大決闘が始まります。森はまたシイタケや木の実、蜂蜜と、四季折々、人々に豊かな恵みをもたらしてきました。
写真家・今森光彦氏は、琵琶湖をのぞむアトリエを拠点に、琵琶湖湖畔の「里山」に生きる小さな生命たちと、そこに生きる人々の関わりを写真に撮り続けてきました。1995年に写真集『里山物語』によって写真家として大きく注目され、2000年に今森氏によるNHKスペシャル『映像詩 里山』は、大変な反響を呼びました。同年、初めて撮影監督を務めた記録映画『今森光彦の里山物語』が公開され、高い評価を得ています。その後もNHKと継続的な取材を続け、『映像詩 里山』シリーズとして放映されています。本展では、今森光彦氏が見つめてきた「里山での生命の循環」という静かなドラマを独自の視点で捉えた美しい写真によって構成します。
大学卒業後独学で写真技術を学び1980年よりフリーランスとなる。以後、琵琶湖をとりまくすべての自然と人との関わりをテーマに撮影する。一方、熱帯雨林から砂漠まで、広く世界の辺境の地を取材し続けている。
「今森光彦 昆虫記」「世界昆虫記」(ともに福音館書店)、「里山物語」「里山の少年」(ともに新潮社)、「湖辺 みずべ」(世界文化社)、「昆虫4億年の旅」(新潮社)など多数。
第48回毎日出版文化賞、第20回木村伊兵衛写真賞、第42回産経児童出版文化賞。
2005年日本写真協会賞年度賞、2009年第28回土門拳賞
| 1998年 | NHKハイビジョンスペシャル「里山 人と自然がともに生きる」 |
|---|---|
| 1999年 | NHKスペシャル「映像詩 里山 覚えていますか ふるさとの風景」 |
| 2004年 | NHKスペシャル「映像詩 里山 命めぐる水辺」 |
| 2008年 | NHKスペシャル「映像詩 里山 森と人 響きあう命」 |
| 2009年 | 劇場版「里山」 |
カラープリント 約50点
| 主催 | 「東京写真月間2010 実行委員会」(社)日本写真協会・東京都写真美術館 コニカミノルタホールディングス(株) |
|---|---|
| 後援 | 外務省・環境省・文化庁・東京都 |
| 企画協力 | クレヴィス |
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