撮影場所のほとんどはアラスカ。まずは、航空券を取る事から始まります。厳冬期の撮影は、ひと月ほど前からできるだけ肉食に切り替え、寒さに備えます。出国の1週間前からは、撮影に必要なフイルムやバッテリーなどの買い出し、そして荷造り開始。部屋中がキャンプ用品やカメラ機材、スキーやカヤックで溢れ、足の踏み場所が無くなるほどです。これらをダッフルバッグ、バックパック、カメラバック、ペリカンケースに詰め込み準備完了。この荷物を現地に運び、撮影場所にたどり着けるのは、出国してから1週間後になる事もあります。
まずはそう簡単には、思っている動物には出逢えない。けれど、逢いたいと思っていた動物に出逢えた瞬間、シャッターを切り始める時は最高の時間です。その喜びは、形容する言葉が見つからないほどです。ひとつのイメージのカットを撮るまでに、7年かかった事がありました。1匹の動物をファインダー内にとらえるまでに、10年かかった事もあります。きっとそんな時は、撮影を終えて、カメラバッグにカメラをしまう僕の顔は、ニタニタしていたに違いありません。
もっとも好きな被写体がクマなので仕方がないのですが、心臓に良くない思いをさせられる事がよくあります。北極圏での出来事です。数百メートル先のグリズリーを、山を入れ、望遠レンズで撮影していました。するとそこへ、1羽のカラスが飛んで来ました。カラスは僕の頭上を旋回して、鳴き声をあげました。獲物の在処を教えられたクマは、一目散に僕に向かい走って来ました。事もあろうにその時僕は、カメラバッグに拾ったばかりの枝振りのいいカリブーの角を付けていました。目の前まで来たクマは立ち上がり、僕は三脚を伸ばし、大声をあげてクマに立ち向うはめになったのです。
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