大学時代に美術史を学んでいたこともあり、現代のスナップ写真を、あえて西洋の古典絵画における構図を参考にすることで、新たな写真空間を生み出そうとしました。特にプッサンという画家の群像構成の表現に注目しました。現実の空間の写真ですから、絵画のように人の配置を決めることは難しかったのですが、集合写真の仕事で培った技術を基に、空間の人を掴むことで、演出したような画面構成になるようにと創作しました。
撮影に出掛けた毎回のことが印象に残っています。というのも街の雑踏の中では無個性化となってしまった人々も、各々の人が一斉に存在感を放つ一瞬がいつも存在したからです。それは写真におさめられなかったこともありましたが、自分の中でも人混みの都会で生活している一人として、浅薄な個性が確固たるものとしてあるような気がして、創作という過程の中で「人の存在」について数多く考えさせられました。
次回作は現在進行中なのですが、今回の作品が平面的な構図を基調としていたので、それに少し俯瞰した形で奥行きを加味し、人の配置に立体感を持たせています。それもまた日本中世の屏風絵などを参考にして、新たな空間演出を模索しています。私は人の存在というものが、自由で自律したものであって欲しいという思いがあります。それは今後作品を作っていく上でも、何か形にしていければと考えております。
このような機会を設けさせて頂き本当にありがとうございます。
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