濃度計のツボ

印刷物と照明

印刷物を目視評価する際に、非常に重要なのが目視観察を行う場所の照明です。
色見台などの色評価用蛍光灯下と一般の蛍光灯下とでは、同じ印刷物でも人の眼にはかなり違って見えます。
また、最近ではLED照明の普及が始まっていますが、色評価の現場でも今後更に問題になりそうといえます。

下の表は蛍光灯の規格で、このようにたくさんの種類があります。黄色の部分が印刷色評価用蛍光灯です。
この他にも、比較的多く使われている3波長型という蛍光灯があります。
LED照明も規格が定まっておらず、いろいろな光源色の多くの種類があり、さらには色を変えられる調色タイプもあります。

演色性の種類 光源色の種類 相関色温度 記号 演色評価数
普通型 昼光色 7100~5700 D 69
昼白色 5400~4600 N 67
白色 4500~3900 W 57
温白色 3700~3200 WW 54
電球色 3150~2600 L 50
演色A 昼白色 5400~4600 N-DL 75
電球色 3150~2600 L-DL 65
演色AA 昼光色 7100~5700 D-SDL 88~76
昼白色 5400~4600 N-SDL 86~72
白色 4500~3900 W-SDL 84~68
温白色 3700~3200 WW-SDL 82~64
演色AAA 昼光色 7100~5700 D-EDL 95~88
昼白色 5400~4600 N-EDL 95~88
電球色 3150~2600 L-EDL 90~78

自社基準、JapanColor、JMPA、NSACいずれの基準で刷ったとしても、印刷発注者との目視観察照明の違いによるメタメリズムや蛍光増白剤の影響等で色が合わず、最終的には目視による色調整を加えているのが現場の実情です。
「どの照明光源下で目視評価をするのか」を予め印刷発注者と合意しておくことが大切ですし、出来れば目視観察照明のスペクトル、或いは照度、色温度、演色性などを定期的にチェックしておきたいものです。

コニカミノルタ「FD-7」は目視観察照明の照度、色温度を測定することができます。

蛍光分光濃度計「FD-7」を使った解決法

目視と測色器の測定値を一致させるためには、測色器の光源を目視評価する場所の照明にすればよいわけです。実際の手順としては、まずFD-7で目視評価する場所の照明を測定します。そしてそのデータをFD-7に登録します。
以降は、登録した光源による測定で色調整作業を行います。

通常の室内照明下でのカラーマッチング方法

1.室内照明(ユーザー光源という)を測定する。

1.室内照明(ユーザー光源という)を測定する。

2.測定したユーザー光源をFD-7に登録する。

3.測光器の照明条件、演算光源共にユーザー光源設定でチャートを測定する。

3.測光器の照明条件、演算光源共にユーザー光源設定でチャートを測定する。

4.測定したテキストデータを使って、マッチングソフトで色調整作業を行う。

4.測定したテキストデータを使って、マッチングソフトで色調整作業を行う。

A光源とユーザー光源との視覚評価結果

A光源の測色器とユーザー光源のFD-7で調整した結果を目視官能評価した。

ターゲットサンプル

タングステンハロゲンランプを使った測定器の場合
→グレイ、薄橙色、ブルーで差のある結果

目視評価する色見台の照明を測定・登録したFD-7の場合
→ターゲットに対し目視により近い結果

実際の実験結果が上記の通りです。
タングステンハロゲンランプ(A光源)の測色器と、目視評価する色見台の照明を測定・登録したFD-7による色調整作業を行いました。
A光源では、グレイ、薄橙色、ブルーなどに若干差が見られましたが、ユーザー光源を使用した場合、目視により近くなる結果となりました。

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