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技術紹介
位相コントラスト技術

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位相コントラスト技術

X線写真の概略

病院・クリニックへ行ったときに、撮影されるX線写真。 みなさんもご経験があることと思います。今回の位相コントラスト技術はこのX線写真における革新的な技術として、注目を集めています。位相コントラスト技術そのものに入る前に、まずX線写真の概略から見てまいりましょう。

X線写真では、fig1のようにX線フィルムが入ったケースとなるカセッテを患者さんにあてがい、X線を照射して体の構造物(骨や筋肉など)のX線吸収差(吸収コントラスト)を画像情報としてフィルムに記録。現像処理をへてX線写真が仕上がります。


fig1 X線写真撮影(アナログ)

レントゲン博士がX線を発見して以来、フィルムを利用したX線撮影は、約100年以上同様の方式で、医療分野に利用されてきました。

この間、少ないX線照射量で撮影ができるように高感度化したり、より鮮明な画像を得るべく高鮮鋭性化が図られ、今日に至っています。

X線写真のデジタル化

長い間フィルムを利用してきたX線写真ですが、より少ないX線で・・・より良い画像を求めて、デジタルシステムがデビューしています。

患者様から見た撮影作業は従来と同様ですが、撮影後は現像作業をすることなく、DRY環境で写真を作成、もしくはディスプレーで診断するなど大きな進化がありました。


fig2 X線写真撮影(デジタル)

X線写真のデジタル化は、画像処理の恩恵もあり非常に鮮明で被曝の少ないものになりました。今日では多くの医療機関で利用されるようになりましたが、特に超精細な画像を要求される乳房撮影(マンモ撮影)では、乳房撮影のみはアナログ撮影という時代が続きました。

位相イメージングの原理


fig3 位相イメージングの原理

X線が物体を透過するとX線画像が形成されることはすでに述べましたが、(Fig.3)。これは吸収コントラストと呼ばれています。一方、X線そのものは可視光同様に電磁波なので、物体を透過するとX線の位相が変化。この位相変化が、一般に屈折や干渉として観測されます。この位相変化に基づくX線強度差あるいは画像コントラストが位相コントラストであり、吸収コントラスト+位相コントラストの組み合わせが高画質化のキーとなっています。

X線撮影における位相コントラスト技術は、人体(被写体)を透過した直後のX線そのものの画像をエッジ強調効果により、シャープさ(鮮鋭性)を向上させるもので記録側の画質向上を行ってきた、従来からのアプローチとは全くちがう革新的なものとなっています。

位相コントラスト画像とは


fig4 位相コントラスト画像とは

この位相コントラスト画像は、従来の通常X線撮影画像と比べるとシャープさ(鮮鋭性)が向上していることが分かります(fig4)。空気との境目に黒い筋が見え、チューブの中の気泡の辺縁が白く明確(シャープ)になっています。

これまで位相コントラストは、X線の干渉によって生ずると言われており、医療用で用いるX線管では、被写体からX線検出器を離して撮影する拡大撮影で、幾何学的不鋭によって位相コントラストが消えると考えられてきました。

コニカミノルタは、X線が干渉しない前提で、幾何光学的な理論解析から、マンモ撮影用Mo陽極X線管の0.1mm小焦点で、その焦点から被写体までの距離が0.5m以上、被写体からX線検出器までの距離が0.25m以上で位相コントラストが得られることを見出すとともに、X線写真の大幅な画質向上に応用することを検討しました。

なぜ乳房撮影を注目?


fig6 乳房X線写真(マンモグラフィ)

いろいろなX撮影の中で、乳房撮影が特に注目される理由は、その画像内に描写される疾患(ガン)が非常に小さいことと、その形が重要であることによります。

写真を読影する医師は(fig6)写真上の白い塊の陰影に加え、数100ミクロンに及ぶ小さな白点(微少石灰化)を探すとともに、その形に注目します。特にこの微少石灰化は乳ガンの入り口にあたるため(初期乳ガン)、特に重要と言われています。

コニカミノルタはシャープさ(鮮鋭性)を大幅に向上させる位相コントラスト技術を応用することで、乳房撮影のデジタル化を促進するとともに、これまでにないの高画質化で、増え続ける乳ガンの撲滅に貢献したいと考えました。

PCMシステム登場!

コニカミノルタでは位相コントラスト技術を活用したデジタル乳房X線撮影システムを開発。PCMシステムとしてデビューいたしました。

PCMシステムは、PCM用半切カセッテによる撮影と43.75μm読み取りにより、約7000万画素もの超高密度な画像データーを取得します。さらにフィルム出力時の原寸出力と最高濃度4.0フィルムの組み合わせにより、高い鮮鋭性と粒状性を兼ね備えた最高画質を実現しています。

PCMシステムの構成

PCM画像(左)と、従来のSF画像(右)


fig7 乳房X線写真の差

Fig.7に臨床画像の一例を示します(滋賀医科大学提供)。被写体線量が同一の撮影でえられたPCM画像(左)と従来のSF画像(右)とを比べると、PCM画像では乳房構造が鮮明に描写されていることがわかります。そして、多くの臨床画像の検討の結果、乳房X線写真(マンモグラフィ)の使命とも言われる微小石灰化像の描出性は、従来のSF画像以上であると評価されるに至りました。

今後、このシステムが乳癌の早期発見に貢献することを期待して止まない。

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