登場人物
-
鈴木 顕次郎さん
・ソリューションサービスサポート本部 サービスサポート企画統括部 統括部長
-
池田 麻衣さん
・コーポレート本部 業務統括部 関東業務部 1グループ 所属
-
佐藤 浩司さん
・人事統括部 人財開発部 部長
-
富家 翔平さん
・営業推進統括部 マーケティングセンター マーケティング企画部 部長
-
鈴木 智雄さん
・DXソリューション事業部 ITS事業推進統括部 ITサービス管理部 副部長
座談会メンバーの現在の仕事内容
――今回は多様な経歴を持つ5名にお話を伺います。まず自己紹介と、現在の仕事内容について教えてください。
-
私は1986年に入社し、16年間サービスエンジニアを経験しました。その後スタッフ部門などを経て現在はサービスサポート企画部に所属しています。サービス部門の中期計画や年度施策およびプロジェクト管理や、複合機で使用する部品・資材のデリバリー、エンジニアの教育まで幅広くの役割を持っています。
-
1997年に中途で入社以来、業務部門に所属しています。当初は営業事務として商品手配、売上処理などを担当していました。その後、業務部の全国集約があり、そのタイミングで一般事務として経理・総務全般を担うこととなり現在も営業・サービスエンジニアの皆さんを側面からサポートしています。
-
私は2019年に中途採用で入社し、人財教育をしています。以前はコンピューターメーカーでヘルスケア部門のシステムエンジニアとして、電子カルテの開発と大規模病院への適用などを担当していました。学生時代から教育に興味を持っていて、エンジニアの人財教育に携わるようになって17年になります。
-
私はテレビの通信販売会社のバイヤーを経てマーケティング職に携わるようになり、その経験を活かして広告代理店に転職しました。その後コニカミノルタジャパンに入社して5年になります。入社後はマーケティングサービス事業部のプリセールスを担当し、今はマーケティングセンターのマーケティング企画部で、全社マーケティングと事業マーケティングの連携などを設計しています。
-
コニカミノルタジャパンのサクセスパック制作を担当し、部門横断での業務改革を推進しています。「
いいじかん設計」コラムでは様々な事業部の取り組みをご紹介しています。本日の座談会にはインタビュアー兼メンバーとして入ります。
多様な人財の入社の経緯
――中途で入社された方へのお伺いで、コニカミノルタジャパンへはどのような経緯で入社されたんですか?
-
私は広告代理店に在籍している時から、マーケティング領域でさらに活躍できる機会を求めていました。そんななかでコニカミノルタジャパンのマーケティングサービス事業部の方から声をかけていただき、打ち合わせの場が設けられました。そしてその場で「志望動機」について質問され答えるうちに、採用が決まっていました。
-
それは驚きますね。採用はどこの企業も書類選考を経て面接を行い、応募者は合否連絡を待つものだと思っていました。
-
そうですね。ただこの採用活動の形態って、いわゆる「リファラル採用」というのですが、今や王道になりつつあるんです。採用条件に合っている知人に気軽に声をかけるというやり方を5年前からやっていたのは珍しいことかもしれないですね。
-
私は求人に応募して採用されました。教育に携わるようになってから数年が経ち、前の会社を退職したタイミングでコニカミノルタジャパンと縁があり入社しました。
-
システムエンジニアから教育は全く異なる職種ですよね。異動したきっかけはなんですか?
-
システムエンジニアをしていた時は、よく紙文書を電子化するシステムを導入していました。それ自体は順調だったんですが、システムを使う人のヒューマンエラーがたびたびありました。その都度システムで適応させていましたが、ある時、システムエンジニアを経験した自分だからこそ人々に教えられることがあるのではないかと思い、教育に異動しました。
個が輝く!を実現する会社の変化と風土づくり
――多様な人財の活躍を推進するための会社の変化を実感することはありますか?
-
私はコニカとミノルタが合併する前の、コニカビジネスソリューションズという会社に在籍していました。当時と比べると想像できないくらい大きく変わっていると感じます。
-
というのも、当時は商品の中心が複合機だったのですが、現在は様々なソリューション商材やオフィス空間そのものを扱っています。いくつもの会社が統合して大きくなったことで、多様な人財が集まり、多方面で活躍しているのだと思います。
-
会社が大きくなるにつれ多様な人財が集まり、たくさんのアイデアが生まれていますね。会社としても多様な人財の活躍を後押ししているから、また新しいアイデアが生まれ、イノベーションが起きる。統合は決して簡単なことではありませんが、これまでの実績にとらわれず積極的に挑戦できる環境に変化しているなと感じます。
――会社として掲げている「違いを力に!」の推進のために取り組んでいることを教えてください。
-
はい、人事部門では「違いを力に!」の理解の普及を進めています。「違い」というのは、自身の気付きにつながるので対話のなかで「違い」を明らかにすることをサポートするようにしています。また、遠隔地の従業員同士や、部門を越えたコミュニケーションの促進を目指して、どのように機会を創出するかを模索しているところです。
-
人が集まることで違いが明確化され、力に変わっていくんですね。今は離れていてもリモートでつながれるので、違う部門の従業員同士でのコミュニケーション機会もつくりやすくなっている印象です。
-
私の部門では新たな保守領域に挑戦しています。これまでは複合機の保守がメインでしたが、
ネットワークカメラMOBOTIXや
ヘルスケア部門の医療機器、当社以外の製品などのこれまでとは異なる領域の製品の対応をするためにスキルの習得を推進しています。
-
新たな挑戦をすると様々な意見が寄せられると思いますが、メンバーとのコミュニケーションはいかがですか?
-
そうですね、サービス部門はとくにメンバーが多いので様々な意見があります。ですのでメンバーとは気軽なコミュニケーションを心がけていて、全員がチャレンジできる風土づくりはできていると考えます。
-
私は多様な人財の活躍には上位職の理解が不可欠なように思います。上司がリスキリングやアンラーニングを受けていないと、多様性を生み出す環境はつくれないのではないでしょうか。上司が決めた枠、想定のなかでの自由なんて、本当の意味での多様性など無いんです。自分が想像もつかなかった答えが部下から出た時に、YESと言うためには覚悟と部下への信頼が必要だと思います。
-
確かに、多様なメンバーが活き活きと働くにはその環境をつくることも大切ですね。自由にアイデアを言葉にした時に、上司が前向きに受け止めるかどうかで組織の風土ができるんですよね。
-
そうなんです。私自身が率直な意見交換をとくに大切にしているので、必要なことは厳しい意見でも伝えるようにしますが、受け入れられないことも多いです。ただ過去を振り返ると、受け入れてもらえない時は自分一人の意見だけを言っていました。伝え方も大事ですが、相手の立場に立って「どうすれば受け取ってもらえるか」ということの想定とセットで発言しないといけません。
多様な人財は働きながら「ウェルビーイング」
――皆さん「コミュニケーション」を重視されているんですね。働くなかで大切にしている想いはありますか?
-
私は社内のマーケティングの改革を担っており、様々な部署と連携する機会が多くあります。そういう時にホスピタリティーを強く意識しています。正しいと思うことを押し付けるのではなく、「同じ釜の飯を食べる」ことで関係を構築する必要があるんです。
-
確かにそうですね。同じことを言っているのに、この人の話なら聞こう、この人の話は違う気がするという現象がありますよね。
-
ホスピタリティーといえば、以前あるホテルで日本支社長をされていた方から勉強させていただいたことがあります。そこで感じたのは、人をおもてなしするのには「ワクワク感」が必要だということでした。例えばオフィスツアーだと、提供品質を揃えるために手順書通りに説明すると、お客様のワクワク感が無くなってしまうんですよね。
-
「ワクワク感」は私も大事だと思います。「キャリアを築いて幸せそうに働いている人」というのは、誰かのために仕事をしている人とか、チームに足りないところを補い楽しく働いている人であるように思います。自分にとってのハプニング、アクシデントを前向きに受け取れる人がこれからの時代を楽しく生きられる人ではないでしょうか。
-
まさにウェルビーイングですね。そういう人は、感情を伴う気付き、学びが多く、使命感にも満ちているように思います。幸せな働き方、なりたい自分などは、キャリアパスの逆算などの論理的なものだけではないのでしょうね。
――池田さんは長くコニカミノルタジャパンで働いているとのことですが、心がけていることはありますか?
-
そうですね。長く在籍していると色々なことがあるので、何事も前向きに受け止めるように心がけています。数年前に全国の業務部を集約するという大きな改革があった時、メンバーの異動や仕事のやり方などが変わって、分からないことが多くてとても困惑しました。その時期を乗り越えられたのはポジティブ思考を意識していたからです。
-
環境が大きく変わると手探りで進めることが増えて不安になる人も多いと思います。池田さんは不安な気持ちを持ちつつも前向きに取り組むことで状況に適応されたんですね。周りの人のモチベーションはどうでしたか?
-
現在は順調ですが、なかには地方から東京へ転勤となり、新しい環境に戸惑う方もいました。
-
私の部門でも組織改編で戸惑う人がいるという話を聞きます。そのなかで、モチベーションを上げていくきっかけとはなんでしょうか。
-
物事をどのように受け止めるかといった、気の持ちようがほとんどだと思います。それから、メンバーを大切にするという気持ちです。メンバーと協力して進める仕事が多いので、一人で考え込まず、声かけをしてお互いのモチベーションを上げていきました。コミュニケーションを続けていくことで気持ちは好転していくと思います。
-
とても参考になります。以前、私の部門でも関係者が増えれば増えるほど、全員に情報が伝わっていなくて混乱を招くということがありました。また、組織改編の際にも目的や理想像が不明瞭のまま、業務分担を明確化すると、担当者間や上下間での認識の相違から不平不満があちこちから出て組織全体のモチベーション低下にもつながります。このような場合では、組織改編の経緯や経営の目指す姿を理解した上で、仕事の取捨選択、業務最適化をし、メンバーの負荷を減らしていくことも大切なのではないかと感じています。
働きがいは毎日の仕事のなかにある
――今まででとくに働きがいを感じた仕事を教えてください。
-
私の部門は1年を通して研修をしているので、学校と似ていて季節を感じられやりがいがあります。春に出会って、冬に研修を終えて一段と成長した人を送り出す。これがすごく良いと思います。
-
サービス部門でも教育研修をやっていますが、やはり成長を間近で見られることにやりがいを感じますか?
-
もちろんです。受講者の成長も嬉しいですが、教えている講師も一緒に成長していることにも感銘を受けます。また研修後に、「(教えてくれた)講師のような人になりたい」という声も聞けて、嬉しく思っています。
-
私は中長期の目標というよりも期間を区切って今月、今週、今日チャレンジする目標を立てて日々仕事をしています。例えば、17時納期の書類作成を15時までに終わらせる目標を立ててコツコツと効率化の努力をして、そうして創り出した時間で提出書類に情報を追加するなどの工夫をしています。
-
納期前倒しプラス役立つ情報が提出されると依頼者は大助かりですね。とても喜ばれるのではないですか?
-
はい、「その情報を付けてくれて分かりやすくなった」というフィードバックをもらうことが多いです。そうやって人の役に立つ実感ができると、とてもやりがいを感じます。主業務がほとんど定型業務なので、どうすればより効率化できるかを考え、モチベーションを高めています。
-
業務を2時間短縮するという目標だと、勢いだけでは達成が厳しいのではと思います。もっと根本的な効率化が必要だったはずだから、それを自分で考えて実行されたんですね。
-
はい、DXや書類の電子化などの考えを参考にして、使えるツールは活用して日々取り組んでいます。
――目に見える形で業務効率が達成できて、さらにポジティブなフィードバックがあると働きがいにつながりますね。富家さんや鈴木さんはいかがですか?
-
今、自分の得意なことができていると感じていて、感謝もしています。だからこそ、このBtoBマーケティング領域では社内で右に出る者はいないという風に突き抜けているべきだという責任感があります。この責任感が私のやりがいの一部になっています。
-
私はいくつかの部署を経験していますが、どの仕事も楽しくやりがいを感じていて、仕事を覚えていくうちに自分より詳しい人がいないと自負できるほどの状態になります。新しい知識から仮説をたてて検証するためにまた新しい知識を学ぶということを続けていると、自分は第一人者であると胸を張れます。抽象度の高い業務も、メンバーと協力することで解像度が上がっていきます。
-
やりがいというのはチームプレイのなかから生まれて来るのだと思います。お互いに協力することで感謝の気持ちが生まれ、やりがいにつながっています。
-
そうですね。多くの人にとって、仕事は人生の時間の大部分を占めていると思います。ですので楽しい時間にしたいなと。そのなかで誰かに感謝され、自分自身も相手に感謝するということが大事で、それがやりがいにもつながると思っています。そこから自分に何ができるのかということを考え、効率化や付加価値を意識しています。
-
素敵な考え方ですね。そういう働き方をしている人がメンバーにいるだけで、チームの雰囲気が明るくなっているんでしょうね。
-
確かに明るい雰囲気です。こういった働き方をしていると、メンバー同士の仲も良くなります。お互いを尊重しているので、助け合いながら仕事を成し遂げられるとさらに楽しさを感じられます。そうしていくうちにメンバーが自然と前向きになって、チャレンジしていこうという話が飛び交うようになっていきます。
-
池田さんだけでなく、周囲の方も挑戦意欲が高まっているのですね。
-
メンバーそれぞれの考え方があるのでずっと同じモチベーションではありませんが、気になることがあれば伝えられるように心理的安全性を保っています。その上で前向きな気持ちで挑戦できる方法を模索して、違う意見でも認め合えるチームを目指しています。
-
メンバーが活発に意見を交換することで新たなアイデアが出ることはよくありますね。私は会議などで議論が行き詰まった時、あえてその場で思い付きの発言をしてメンバーが意見しやすい空気づくりを心がけています。「自分の意見を言っても大丈夫」という前提があるから、より良いアイデアが出てくる。そしてまた思い付いたアイデアを自分自身で分析・具体化しているうちに、解像度が上がる。これを繰り返してアイデアを出すことがやりがいにつながっています。
挑戦を続けてチャンスをつかむ
――会社以外で個人として挑戦していることはありますか?
-
私は社外でコミュニティーを運営しています。「リーダーを育成しよう」というテーマで数社集まり、「リーダー」の仕事に興味のある方々と会話する機会をつくっています。毎回どういう話題を持っていこうかと考えていて、既定路線ではなく、偶然性を取り入れてつくり上げていくのは楽しいです。
-
どのくらいの頻度でやっているんですか?
-
2・3ヶ月に1回で開催しています。私自身も刺激を受けていて、直接勉強になる話が聞けてこの会がなければ接点がなかっただろう人とリレーションを築けています。
-
私は自社のeラーニングのほか、社外のライブ動画学習サービスも活用しています。多岐にわたるジャンルの授業を視聴できて勉強になります。
-
私は一般社団法人品質工学会に参加していて、最近は「次世代経営研究会」という分科会に参画しています。そのなかで「今後の国内企業の経営はどのようにしていけば良いか」という話をしています。いいじかん設計コラムの「
2030年問題特集」なども、この分科会に通用する内容になっています。
-
私は、知りたいことがあれば時間をいただいて有識者に直接お伺いするようにしています。セミナーなどでは言えない本音の部分にこそ価値があると思っているので、そういうお話を聞いて勉強しています。また、その際は一次情報をとった上で、さらに詳しい情報を取りに行くことが大事です。
-
インターネットにある情報はみんなが知っている情報だから、一次情報から聞くことが大事ですよね。
-
そうです。インターネット上にもたくさん情報はありますが、その情報の確からしさを精査できないので、目利きをしている時間があったら詳しい人に聞いた方が絶対に早い。その時に大事なのは、その人にとって有益な情報をこちらから返せるか?ということ。それを打ち出して、お話をお伺いできるかどうかがコツだと思います。
-
私の場合は数年先のことは考えにくいので、昨日と違う自分を目指し、何が変わったかを振り返るようにしています。「仕事は楽しいかね?」(デイル・ドーテン 著/野津智子 訳)という本のなかで、“明日は今日と違う自分になる”という章があって、昨日とは違う自分をつくり続けることで、変わった自分に辿り着けると気付き、実践しています。
-
今は3ヶ月先すら分からないことも多いのに、数年先の確固たる目標を掲げるのは難しいです。だからあきらめるのではなくて、昨日できなかった、やろうとしなかったことに挑戦してみるだけでも、良いかなと思っています。
-
あと、私は「人のお願いを断らない」ということを意識しています。挑戦は、利己的な挑戦と利他的な挑戦の2種類に分けられると思っています。利他的な挑戦でないと得られるものが少ないと感じているので、とても大切にしています。誰かのお願いにYESで応える挑戦は、利他的な挑戦になる可能性が一番高いんです。だから、「飲みに行きましょう」でも良いし「コレやってください」でも良いし、どんなに忙しくてもセミナーの登壇依頼は断らないようにしています。
-
利他的な挑戦に応え続けていると、自分では思いもよらない機会に恵まれるってことですね。
-
自分も目の前のことを着実にやって来ているタイプなので。その生き方が良いなと思ったきっかけはある映画です。必ずYESと答えなければいけないことになった主人公がYESと答えていくことで、人生が好転していくというお話です。自分の挑戦も他人からの依頼には基本的にYESで返すようにしています。
-
挑戦することでまた新たな挑戦が舞い込んでくる、その連続で自分自身が成長し、さらには周囲に影響を与えるような「輝く」人財になっていくんですね。
――皆さん、本日はありがとうございました。
まとめ
座談会で挙がった、「働くなかで大切にしていること」をまとめると下記になります。
・メンバーがチャレンジできる風土づくりと、自由なアイデアを交わせる心理的安全性
・おもてなしに必要なのは「ワクワク感」
・ポジティブ思考とメンバーを大切にするという気持ちを持つ
・少し上の目標を掲げることと日々の改善活動、利他的なチャレンジを続けることで成長していく
今回は、従業員それぞれが自分にとっての「働き方改革」を推進できる環境づくりを企業が下支えすることで、チャレンジする風土と人財の多様性が生まれ、「個が輝く」につながる、という実例のご紹介でした。
コニカミノルタジャパンでは、これからの働き方についてお客様とともに考え、実現できる環境づくりのご支援もしています。お気軽にご相談ください。