コニカミノルタについて
医用ドライイメージャーは、レーザーで露光してフィルムに潜像を形成したのち、120℃以上の温度に10秒程保持することで熱現像し、可視像を得るシステムです。この温度保持部を熱現像部と呼び、フィルム乳剤の化学反応を均一に促進させるため、供給する熱エネルギーを高い精度で一定保持する事が最も重要な機能です。今回、省エネ化を図るにあたり、この熱現像部を見直し、消費電力を従来機と比較し36%削減しました。

図1:従来の加熱ドラム熱現像方式

図2:分解加熱プレート方式
熱容量を大幅に低減するにあたっては、フィルム現像時の温度安定化が技術課題となります。特に高処理能力が求められる大型機では、現像時における単位時間あたりの熱移動量が大きくなり、熱現像部の温度を安定させることが厳しくなります。従来機で採用している熱現ドラム方式(図1)は、回転する大径の加熱ドラムにフィルムを密着させ加熱搬送するため、フィルム昇温から現像完了まで常に一定の熱量がフィルムに供給され現像プロセスが進行します。一方、分割加熱プレート方式では、搬送方向に各プロセス単位(予熱、昇温、現像)で分割して独立制御する構造(図2)となっており、各プロセス部分で必要とさせる特性に応じて熱量を最適化、すなわち熱量が必要なプロセスには多く、必要でないプロセスには少なく調整可能なことが大きな特徴です。このような調整によりエネルギーのロスを大幅低減し、装置全体の消費電力の削減に寄与しました。

図3:濃度変化量の温度依存性

図4:熱容量比較概念図
まず、熱現像プロセスの設計を開始するに先立ち、各部の温度変化が濃度へ与える影響を把握するためにシミュレーションと試作機での検証を行いました。その結果1.100℃以下(予熱部)は濃度への影響が少ない事 2.100℃から現像温度まで(昇温部)が濃度影響大きい事 3.現像温度近傍(スリット現像部)では温度依存性が少ない事が明確となりました。この結果をふまえて「濃度への影響度×フィルム処理時の熱負荷/熱容量」が従来機と同等になるように、各部の熱容量を決定しました。図3は、前述の1.から3.における濃度変化量の温度依存性を示しています。
温度変化が濃度に対し影響の少ないプロセス(予熱部、スリット現像部)に関しては熱容量低減が可能となり、プリント1枚あたりの総熱容量は従来機に対し約50%低減することができました。
図4は、プリント1枚あたりの熱容量比較概念です。図中左側の斜線部の面積は、加熱ドラム方式による現像時の熱容量を示しています。それに対し、図中右側の網点部の面積は、分割加熱プレート方式による現像時の熱容量です。熱現ドラム方式に比較して分割加熱プート方式の場合、必要時に必要なだけのエネルギーを加えるため、必要となる総エネルギー量は少なくて済むことが図4の左右の面積比較から読み取れます。

図5:消費電力の比較図
熱現像中にフィルムから発生する揮発成分を除去するため、現像エンジン部で加熱された空気は脱臭フィルターを通して機外に排出する必要があります。この際、従来は現像に必要な熱エネルギーまでも排出していましたが、新方式では、揮発成分が高濃度になる部分のみ局所的に排出することで排出熱量を大幅に削減できました。また、熱現像プロセス部において、高温部品と保持部品の接触面積を極小化することにより熱現プロセス以外への熱の放出を極力小さくしました。
これらの断熱性の向上対策による、熱現像プロセス発生エネルギーの効率的な活用も消費電力の低減に貢献しています。
一般病院での使用(8時間稼動100枚処理)を想定した消費電力を従来機と比較すると、当社目標の対従来機30%以上を上回る36%(平均値)の消費電力削減を達成しました。
これは、熱容量低減対策による立上げ時の電力削減とプリント時の総熱容量削減による効果が大きいと考えられます。(図5)