コニカミノルタ

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材料分野

X線検出用蛍光材料厚膜蒸着

X線情報を効率的に画像情報に変換することで、画質向上、被曝量の低減を図ります。

X線捕捉効率の向上

X線画像の画像粒状性は、X線の量子ノイズが支配的であるため、X線吸収の高い材料を蛍光体として選択することは画像粒状性向上のために重要なポイントです。

臭化セシウム(以下、CsBr)は比較的広いX線のエネルギー領域で吸収率が高く、蛍光体材料として優れています。さらにCsBrは蒸着法での成膜が可能であり、それに伴う充填率の向上が見込まれるため、さらに有利です。

柱状結晶によるライトガイド効果

Light guide Effect
Fig.1 Light guide effects of a pillar structure

粒子状タイプの蛍光体を用いた従来のCR(Computed Radiography)プレートではそれら蛍光体粒子を樹脂バインダーに分散し、塗布成膜する方式が用いられてきました。この塗布型プレートでは蛍光体粒子と樹脂界面での光散乱が発生し、読み取りのレーザー光の散乱により画像の鮮鋭性が低下します。またプレートの下層で捉えたX線情報による輝尽発光は、層内での光散乱のため表層側にある受光部で検出する際にロスを生じ易くなります。

蒸着型プレートでは蛍光体結晶がを柱状に形成されていることから、そのライトガイド効果で、読み取りのLD(Laser Diode)光の層内散乱を抑えるとともに、輝尽発光を効率的に受光部に導くことが可能となります。これはCRプレートの高画質化を図る有効な技術ポイントです(Fig.1)。

蛍光体成膜


Fig.2 Sectional scanning electron micrograph view of CsBr phosphor

Fig. 3 Transmittance images of phosphor layer

蛍光体の成膜は、真空蒸着法を用いて蛍光体が柱状の結晶構造を形成するように、真空度、基板温度などの蒸着条件を調整し行います。大型の真空チャンバー内に耐熱性を有する17×17inchサイズの平滑な基板を設置し、基板温度、チャンバー内の真空度を制御しながら、蒸着材料を加熱蒸発させることで蒸着領域内の均一化を図りました。蛍光体層の膜厚はプレート画像性能の鮮鋭性、粒状性を調整しながら決定し、粒子状蛍光体からなる塗布型プレートのおよそ1.5倍となるようにしました。

成膜されたCsBrの結晶形状は蛍光体層の断面を走査型電子顕微鏡を用いて観察しました。その結果、Fig.2に示すようにCsBr蛍光体は柱状構造を形成していることが確認されました。

また、蛍光体層を基板から分離し、裏面側からスポット光を照射し、表側から観察したところ、蒸着型プレートでは塗布型プレートに比べて明瞭な像となることが確認されました(Fig.3)。蒸着成膜したCsBr蛍光体層のライトガイド性が高いことが推測されます。

DQE(量子検出効率)

DQEは所定のX線量子数に対するMTF(Modulation Transfer Function),WS(Wiener Spectrum)などの画像性能への変換効率を示した特性値であり、数値が大きいほど,入力の信号/ノイズ比(以下S/N比)に対する出力のS/N比の低下が少ないことになります。すなわち、DQEが高いほど出力画像のS/N比が高く、視認性の高い画像となります。MTF、WS等の画像性能の評価結果を用いて蒸着型プレートのDQEを算出した。DQEは画像性能の指標として用いられる評価値です。

空間周波数uにおけるDQE(u)は式(1)で表されます。
DQE(u)={γ2・MTF2(u)/WS(u)}/q  ・・・  (1)
q=入射X線フォトン数
γ=画像コントラスト
式(1)によって求められた蒸着型プレートのDQEは塗布型プレートに比べ、2倍以上であることが算出されました。

蒸着型プレートではその画像性能に応じて、画像の鮮鋭性、粒状性が大幅に向上し、塗布型プレートに比べて胸部肋骨の骨稜、および肺野部組織陰影の視認性に優れる結果が得られました。

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