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スペクトルミスマッチ誤差を1%以下にした
タンデム型太陽電池用の
擬似基準太陽電池セル「Reference PV Cell AK-100/110」 新発売

2010年12月15日

コニカミノルタセンシング株式会社(本社:大阪府堺市、社長:唐﨑 敏彦 以下コニカミノルタ)は、アモルファスシリコンとマイクロ(微結晶)シリコンのタンデム型太陽電池※1用の擬似基準太陽電池セル※2「Reference PV Cell AK-100/110」を2010年12月16日より発売いたします。

【商品名】 Reference PV Cell AK-100/110
【標準価格(税別)】 各430,000円
【発売日】 2010年12月16日

AK-100(a-Si用)AK-110(μ-Si用)

【主な特長】

  • スペクトルミスマッチ誤差※31%以下
  • 多重反射による誤差ゼロ
  • 産業技術総合研究所※4で校正可能

近年、世界的な環境意識の高揚による代替エネルギー利用拡大の要求に伴い、太陽電池製造関連産業では、生産量増加に加え、エネルギー変換効率向上のための技術革新が進められています。従来の結晶シリコン型太陽電池だけではなく、薄膜系タンデム型なども登場しています。 これら太陽電池の性能評価においては、ソーラーシミュレータ(擬似太陽光)の光を照射し、国際的な標準試験条件(STC)※5での特性(太陽電池の最大出力電力等)を測定します。
一方、ソーラーシミュレータの照射光をこのSTC条件の一つである基準太陽光と同等に設定する際には、産業技術総合研究所※4等のISO17025認証取得機関で校正された基準太陽電池(擬似基準太陽電池を含む)を用います。正確な性能評価のためには、この基準太陽電池セルの光学的特性や安定性が大変重要です。しかし、タンデム型太陽電池の評価に使用する従来の擬似基準太陽電池セルにおいては、これらの点に多くの技術的課題があり、ソーラーシミュレータを高精度に調整することができませんでした。

今回発売する擬似基準太陽電池セル「Reference PV Cell AK-100/110」は、独立行政法人産業技術総合研究所※4(太陽光発電研究センター 猪狩主任研究員)とコニカミノルタとの共同研究により、多重反射、耐光性能を向上させた擬似基準太陽電池セルです。アモルファスシリコンとマイクロ(微結晶)シリコンのタンデム型太陽電池用の擬似基準セルで、安定した結晶シリコン系太陽電池セルの上に独自設計の光学フィルタを装着し、精度と安定性を従来の擬似基準太陽電池セルから格段に高めています。

本製品により、今まで特別な試験機関以外では難しいとされていたタンデム型太陽電池の評価が、太陽電池の開発・生産の現場においても信頼性の高い測定値を得ることが可能となり、タンデム型太陽電池の研究開発のスピードアップと普及に貢献できるものと考えます。

擬似基準太陽電池セル「Reference PV Cell AK-100/110」の主な特長

1.スペクトルミスマッチ誤差※3を1%以下に抑制

本製品は、コニカミノルタが色彩計で培った高度な光学フィルタ技術を応用することで、従来困難とされていたスペクトルミスマッチ誤差※3の大幅な低減を実現しました。JIS C-8942で等級Cとされるソーラーシミュレータを用いて太陽電池の性能評価をした場合でも、アモルファスシリコン型、マイクロ(微結晶)シリコン型ともに、誤差を1%以下に抑制することが可能です。

スペクトルミスマッチ誤差の比較※6

太陽電池の種類(素材による分類) 通常品 新製品
アモルファスシリコン(a-Si)型 2%以上 0.0% (AK-100)
マイクロ(微結晶)シリコン(μ-Si)型 1.5%以上 0.2% (AK-110)

2.多重反射による誤差をゼロに

従来の擬似基準太陽電池では、ソーラーシミュレータからの照射光をガラスフィルタが反射してしまい、そのために測定誤差が生じやすくなっていました。本製品は、光学系の改善を図ることによって、この多重反射を抑え、測定誤差をゼロにすることに成功しました。
入射角0度の場合には、通常品では 1.3%で※7あった誤差が、本製品では0%となります。

3.産総研で校正可能

本製品は、世界でも数機関しかない「一次基準太陽電池セル」を校正可能な研究機関である、独立行政法人産業技術総合研究所※4との共同研究で開発したものであり、同研究所で校正を受ける※8ことにより、トレーサビリティの保証された正式な「二次基準太陽電池セル」として使用が可能です。

4.高い耐光性

従来の光学フィルタを使った擬似基準セルでは、ソーラーシミュレータを連続照射していると特性が変化してしまい、正確に測定を行うことが困難でした。本製品は、耐光性を高め、このソラリゼーション(光照射の影響で特性が変化すること)を大幅に軽減しているため、長時間の使用でも安定性を確保することができます。

※1
吸収波長域の異なる薄膜層を積層した多接合型太陽電池のうち、2層を積層したタイプのもの。
※2
基準太陽電池セルが被測定物と同等の分光感度を有するのに対し、擬似基準太陽電池セルは光学フィルタを用いて擬似的に太陽電池の分光感度を被測定物の太陽電池と近似させている
※3
照射光源が、基準太陽光とソーラーシミュレータとで異なる事、及び分光感度が、被測定物と基準セルとで異なる事による誤差
※4
茨城県つくば市、理事長 野間口有。太陽電池の性能評価において、日本で唯一「一次基準セル」を校正する機関
※5
Standard Test Condition、放射強度1kw/m2、温度25℃ AM1.5G
※6
ソーラーシミュレータは JIS C 8912スペクトル合致度 クラスAで測定
※7
「下斗米 野々部 篠原 猪狩」太陽電池セルの出力特性測定における拡散光の影響について 日本学術振興会 第175委員会
第5回「次世代の太陽光発電システム」シンポジウム予稿集 241 頁~ 244 頁
※8
(独)産業技術総合研究所での校正は、ご購入後にお客様から当該施設へ直接ご依頼頂くものです。
  • ここに記載の内容、仕様および外観は都合により予告なしに変更する場合があります。

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